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2026/06/27

2030年、インフルエンサーはこう変わる|市場とひとりの姿を予測

筆者/喜多 辰徳

「インフルエンサーマーケティングは、もう頭打ちではないか」。そう感じている方もいるかもしれません。ですが、各種の市場予測が示す未来は逆です。2030年に向けて、市場はむしろ拡大を続けます。

ただし、ひとつだけ大きく変わることがあります。それは主役の顔ぶれです。有名人が大金を稼ぐ時代は静かに終わり、まったく別の顔ぶれが台頭します。

この記事では、市場全体の動き(マクロ)と、インフルエンサー一人ひとりの姿(ミクロ)の両面から、これから起きる変化を予測します。読み終えるころには、自分や自社が何を準備すべきかが見えてくるはずです。


市場は拡大する。でも主役が入れ替わる

まず数字から見ていきます。インフルエンサー関連の市場は、調査各社の予測でおおむね年25〜30%の成長が見込まれ、2030年前後にはいまの3〜5倍の規模に育つとされています。世界で発信する人の数も、大手金融機関の試算では1億人を超えると予測されています。

伸び続ける一方で、お金の流れる先は変わります。これまで主役だった有名人や、フォロワーが数百万人いる大型アカウントの存在感は薄れていきます。代わりに台頭するのが、フォロワー数千〜数万人の発信者、いわゆるナノ層です。

理由は反応率にあります。海外調査では、フォロワーが少ない人ほど反応率が高く、有名人の投稿が1%前後にとどまる一方で、ナノ層は数%に達します。「知らない有名人の宣伝」より「身近な人のおすすめ」を信じる、という心理がその背景にあります。


2030年の「3つの地殻変動」

これからの変化は、大きく3つの軸で起こります。

規模:フォロワー数から、信頼と専門性へ

フォロワーの多さで勝負する時代は終わります。代わりに、特定の分野でどれだけ深く信頼されているかが問われます。数千〜数万人規模の発信者が、広告費の主役になっていきます。

制作:手作業から、AIによる増幅へ

これまで本人が手作業で作っていた投稿を、AIが肩代わりします。台本づくりや編集、翻訳をAIが担い、ひとりでも制作量を何倍にも増やせるようになります。

稼ぎ方:単発の案件から、積み上がる資産へ

単発の広告案件に頼る形から、自社商品や会員制で継続的に稼ぐ形へ移ります。収入が一過性で終わらず、資産のように積み上がっていきます。


2030年のインフルエンサーは「5つの姿」に分かれる

ここからはミクロの視点です。2030年、発信者一人ひとりは、おおよそ次の5つの姿に分かれていきます。ひとりが複数を兼ねることもあります。

・AIに増幅された個人:本人はひとりでも、AIが編集や翻訳を担い、ひとつのメディア会社のように発信します。

・AIの分身を持つ人気者:顔や声を学習したAIの分身が、本人が眠っている間もライブ配信で接客や販売を続けます。

・完全なバーチャル人格:実在しない、AIが生み出したキャラクターが、24時間・多言語で「動く看板」として働きます。

・超ニッチな専門家:フォロワーは少なくても、特定の分野で深く信頼される人です。地方や個人事業と最も相性のよい層です。

・コミュニティの主:会員制やサブスクで、ファンとの関係そのものを繰り返し収益につなげる人です。

海外では、AIの分身による数時間のライブ配信が大きな売上を記録した事例もすでに登場しています。同時に、AIが作った架空の人物を広告に使う際には表示を義務づける法律も生まれ始め、「AIだと明かす」ことが前提になりつつあります。


地方の個人事業にこそ、追い風になる

ここまでの話は、遠い海外の出来事に聞こえるかもしれません。ですが日本の地方にとって、この変化はむしろ追い風です。

理由は2つあります。ひとつは、有名人を起用する必要がなくなることです。地元に詳しいナノ層と組み、その発信をAIで増幅すれば、少ない費用でも深く届く発信ができます。もうひとつは、日本の地方への本格的な波及がこれからだということです。世界より少し遅れて訪れるからこそ、いま動いた人が先行できます。

現場の事業者にとっての第一歩は、フォロワー数を追うことではありません。ファンと直接つながる場所を持ち、その関係を育てておくことです。それが2030年に向けた、いちばん確かな備えになります。


よくある質問

Q. インフルエンサーマーケティングは、もう終わるのですか。

A. いいえ、市場はむしろ拡大します。終わるのは有名人に大金を払うやり方であって、手法そのものではありません。

Q. AIに、人間の発信者は置き換えられますか。

A. 作業の部分はAIに移っていきます。ですが、人格や信頼、ファンとの関係づくりは人間に残り、むしろそこが価値の源泉になります。

Q. 地方の個人事業でも活用できますか。

A. はい、相性はとても良いです。地元のナノ層とAIを組み合わせる形が、現実的で効果も出やすい打ち手になります。

Q. いまから何を準備すればよいですか。

A. ファンと直接つながる場所を持つことです。プラットフォーム任せにせず、自分の手元に関係を残しておくことが大切です。


まとめ

2030年のインフルエンサー市場は、次の3点に集約できます。

・市場は拡大しますが、主役は有名人から少人数の発信者へ移ります。

・作業はAIが担い、人間には人格と信頼とコミュニティが残ります。

・収入は単発の案件から、積み上がる資産へと変わります。

まず取り組むべきは、ファンと直接つながる場所をひとつ持つことです。今日から始められます。

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