資料作成に丸一日かかったのに、内容を考えた時間は最初の30分だけだった。残りは図形の位置をそろえ、文字サイズを調整し、色を決めかねていた時間でした。こういう一日に心当たりはないでしょうか。
AIでスライドを作れると聞いて試したものの、薄く広く散った内容が出てきて、そのまま閉じた方もいるかもしれません。あれはツールの限界ではなく、手順の問題です。この記事では、Gemini Notebookでスライドを作るときに出力の質を決める分岐点と、その具体的な手順をお伝えします。
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資料作成の時間は、何に使われているか
資料作成が重いのは、考えることが多いからではありません。内訳を見ると、頭を使う時間より手を動かす時間のほうが長くなっています。
図形を並べる。余白をそろえる。フォントを統一する。色を決める。これらはすべて、内容が決まったあとに発生する作業です。
つまり、内容を考える力と、資料作成にかかる時間は、あまり関係がありません。「デザインセンスがないから資料が苦手」という自己認識を持っている方ほど、この工程を手放したときの効果が大きくなります。

スライドは「生成してから直す」ものではありません
ここが一番重要な点です。
Gemini Notebookのスライド生成には、知っておくべき仕様があります。改訂版を生成するたびに、まったく新しいスライド資料が作られるという点です。前の版に部分的な修正を加えるのではなく、ゼロから作り直されます。
つまり、生成してから少しずつ直していく進め方は成立しません。3回作り直せば、3つの別々の資料ができるだけです。
一度試して「作り直すと全部変わるので直しようがなかった」と感じた方は、正しく仕様を体験しています。ツールの不具合ではありません。
だからこそ、生成ボタンを押す前に構成を固めます。順番を変えるだけで、結果が変わります。

手順は2段階に分けます
構成を作る工程と、スライドにする工程を分離します。
第1段階:構成案をテキストで作らせる
まず、資料の材料をソースとしてノートブックに入れます。企画書、データ、参考資料など、根拠になるものです。
そのうえで、スライドではなくテキストの構成案を作らせます。
あなたはプレゼン資料の構成を設計する担当です。
ソースをもとに、スライド1枚ごとの内容を整理してください。
・1枚につき、見出しと本文の要点を3行以内
・全体の流れが分かるよう、ページ番号を振ってください
・そのままスライドに流し込める粒度まで具体的にしてください
・ソースに書かれていない内容は補わないでください最後の1行を入れておくと、根拠のない一般論が混ざりません。ここで出てくるのは、まだただのテキストです。
第2段階:構成案を確定してからスライドにする
出てきた構成案を読み、自分の手で直します。ここが人間の仕事です。「この順番は逆だ」「この枚数は多い」といった判断を入れてください。
直し終えたら、その構成案をメモとして保存し、ソースに追加します。そして、その構成案だけを選択した状態でスライド生成を実行します。
この「構成案だけを選択する」が品質の分かれ目です。
すべてのソースを対象にしたまま生成すると、情報が薄く広く散ります。材料が多すぎて、どれを拾うべきかAIが判断できないからです。磨いた構成案だけを渡せば、意図したとおりのスライドが出てきます。
一度試して失敗した方の多くは、この選択をしていません。
生成したあとにできること、できないこと
仕様を正確に把握しておくと、無駄な試行錯誤が減ります。
Gemini NotebookのStudioパネルから、スライド資料を選んで生成します。鉛筆のアイコンから、生成する前に指定を加えることもできます。生成はバックグラウンドで進むため、待っている間もノートブックで別の作業を続けられます。
できあがった資料は、PDF形式またはPowerPoint形式でダウンロードできます。パワポで開いて、そのまま社内の資料として使えます。
削除したスライドは、メニューから復元できます。ただし前述のとおり、改訂版を作れば全体が新しく生成されます。
なお、スライド資料の生成と削除には、そのノートブックの編集権限が必要です。共有されたノートブックを閲覧権限で開いている場合はできませんので、共有設定を確認してください。

企画書と提案書は、たたき台に反応するほうが速い
スライド以外の資料にも、同じ考え方が使えます。
企画書がつらいのは、書くことではなく白紙から考えることです。人の頭は、ゼロから生み出すよりも、目の前にあるものへ反応するほうが得意にできています。「なんか違う、ここはこうだ」という反応こそが、企画力の正体です。
だったら、反応する対象を先に出させます。
ソースをもとに、企画書のたたき台を作成してください。
1. なぜこの企画が必要か
2. 何をするのか(一言で)
3. 誰に向けた企画か
4. 具体的にやること(3つから5つ)
5. 期待できる効果
6. 必要な人と予算
7. スケジュール
8. リスクと対策
ソースのデータや事例を使い、根拠のある内容にしてください。出てきたたたき台に赤を入れていくと、白紙を前にうなっていた時間が消えます。時間が短くなるのではなく、悩む種類が変わるという感覚に近いはずです。
提案書も同じです。顧客ごとにノートブックを作り、打ち合わせメモと過去のやり取りをソースに入れておけば、その顧客に合わせた構成で出てきます。前回話した内容が提案から抜け落ちる事故も防げます。
図解は、絵心ではなく構造化で決まります
「この内容、図解にしたら分かりやすいのに」と思いながら、結局は文字だらけの資料になる。よくあることです。
図解を諦める理由は、絵心ではありません。情報を図解できる形に整理する工程が重いからです。何を要素にして、どう関係づけて、何を削るか。図解の出来は、描く前のこの整理でほぼ決まります。
そこで、整理だけを任せます。
この内容を図解にしたいです。図解に適した形に構造化してください。
1. 図解のタイトル案
2. 要素の分解(3つから7つ)
3. 要素同士の関係(対比・流れ・階層のどれか)
4. 各要素に添える一言3番で選択肢を3つに絞っているのがコツです。図解の型はおおむねこの3つに収まるため、選ばせると整理が実用的になります。
構造さえ決まっていれば、あとは四角を並べるだけで図解になります。図解が上手い人の正体は、絵が上手い人ではなく、構造化が速い人です。
最初の1枚をつくる順番
次の資料で、この順番を試してみてください。
・材料をソースに入れる
・スライドではなく、テキストの構成案を作らせる
・構成案を自分の手で直す
・直した構成案をメモに保存し、ソースに追加する
・その構成案だけを選択して、スライドを生成する
遠回りに見えますが、生成してから直そうとするより速く終わります。改訂のたびに作り直しになる以上、先に構成を固めるのが唯一の近道です。
なお、社外に出す資料の材料をAIに入れる前には、社内ルールの確認を済ませておいてください。取引先名や金額が含まれる場合はなおさらです。

よくある質問
Q. 生成したスライドをパワポで使えますか。
A. 使えます。PDF形式のほか、PowerPoint形式でダウンロードできます。ダウンロード後は通常のパワポファイルとして編集できます。
Q. 生成したあと、一部だけ直せますか。
A. 改訂版を生成すると、まったく新しい資料が作られます。部分的な修正を重ねる使い方はできません。細かい調整は、ダウンロードしたあとパワポ側で行うほうが確実です。
Q. 削除したスライドは戻せますか。
A. メニューからスライドを復元できます。ただし改訂版を生成した場合は別の資料になりますので、混同しないようご注意ください。
Q. 共有されたノートブックでもスライドを作れますか。
A. 生成と削除には編集権限が必要です。閲覧権限だけの場合はできませんので、共有元に権限の変更を依頼してください。
Q. 構成案を作らずに、いきなり生成してはいけませんか。
A. 試すだけなら問題ありません。ただし、ソースが多いほど内容が薄く広く散ります。実際に使う資料であれば、構成案を挟んだほうが結果的に速く終わります。
まとめ
資料作成の時間を取り戻すために、押さえるべきことは3つです。
・時間を食っているのは内容を考える工程ではなく、体裁を整える工程です
・Gemini Notebookは改訂のたびに新しい資料を生成するため、作ってから直す進め方は成立しません
・構成案をテキストで作り、自分の手で直し、その構成案だけを選択して生成します
次の資料で、生成ボタンを押す前に構成案を1枚はさんでみてください。デザインセンスの問題ではなかったと分かるはずです。
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