AIに同じことを頼んでも、日によって良い答えと、もの足りない答えが返ってくる。そんな経験はないでしょうか。当たりが出るまで言い方を変えて何度も入力し直す。これでは、せっかくの時間がもったいないですよね。
実はこのバラつき、あなたのセンスの問題ではありません。AIへの指示、いわゆるプロンプトには、開発元が公式に示している「組み立ての型」があります。この記事では、その型を非エンジニアの方向けに整理し、そのままコピーして自分の仕事に直せるひな形までお渡しします。
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なぜ同じAIなのに、答えの質がバラつくのか
AIは、こちらが渡した情報の範囲でしか考えられません。背景や前提を省いて短く頼むと、AIは足りない部分を自分で推測して埋めます。この推測が外れると、的外れな答えになります。
Claudeの開発元であるAnthropicが公開した公式セッションでも、これが実演されました。スウェーデンの自動車保険の事故査定をAIに頼む場面です。前提を何も与えずに頼むと、AIは交通事故の書類を「スキーの事故」だと勝手に勘違いしました。ところが「自動車保険の査定を手伝うAI」という役割をひと言加えるだけで、正しく車の事故として読み始めたのです。

つまり、答えのブレは才能ではなく、渡した情報の不足から生まれます。
プロンプトは「才能」ではなく「組み立て」
このセッションで示された結論は、とてもシンプルです。良いプロンプトは閃きで生まれるのではなく、決まった部品を決まった順番で積み上げてつくる、というものでした。

部品は全部で10個あります。そして、その並べる順番にも意味があります。料理の手順と同じで、入れる材料が同じでも、入れる順番が違うと仕上がりが変わるのです。
AI公式が使う10の部品(順番つき)
公式が推奨する並びは次のとおりです。上から順に積み上げます。
前半は「誤解を消す」土台づくり
タスクの文脈:AIに役割を与えます。「何をする人なのか」を最初に伝えます。
トーンの指定:どんな態度で答えてほしいかを伝えます。公式の指示は「事実ベースで、不確かなら断る」でした。ここを外すと、それらしい嘘が混じりやすくなります。
背景データ・資料・画像:毎回変わらない前提資料を渡します。
詳細なルールと手順:守ってほしい決まりと、進め方を書きます。
具体例:お手本を見せます。難しいケースの正解例を入れると、AIの判断が安定します。


後半は「精度を詰める」仕上げ
会話履歴:これまでのやり取りがあれば渡します。
今やってほしいこと:目の前の依頼を具体的に書きます。
大事な点の念押し:守ってほしい決まりを、最後にもう一度だけ繰り返します。
順を追って考えてもらう:いきなり結論ではなく、手順を踏んで考えるよう促します。
出力の形を指定:箇条書き、表など、ほしい形を指定します。


前半で土台をつくり、後半で仕上げる。この流れを意識するだけで、最初の1回の精度が変わります。
そのままコピーして使えるひな形
次の型をコピーして、かっこ内をあなたの仕事に置き換えてください。10個すべてを毎回埋める必要はありません。まずは1〜5と7だけでも効果があります。
1. あなたの役割:あなたは[ ]を手伝うアシスタントです。
2. 態度:事実にもとづき、分からないことは正直に「分かりません」と答えてください。
3. 前提資料:以下が参考資料です。[資料を貼る/なければ省略可]
4. ルール:次の決まりを守ってください。[例:専門用語は避ける/200字以内 など]
5. お手本:理想の答えの例はこちらです。[良い例を1つ貼る/なければ省略可]
6. これまでの流れ:[過去のやり取りがあれば貼る/なければ省略可]
7. お願いしたいこと:[今回やってほしいことを具体的に書く]
8. 念押し:特に[ ]は必ず守ってください。
9. 進め方:いきなり結論を出さず、順番に考えてから答えてください。
10. 答えの形:[例:箇条書きで3点/表形式 など]で出してください。一度つくってしまえば、あとは7番の依頼内容を差し替えるだけで使い回せます。
よくある質問
Q:10個も書くのは大変です。全部必要ですか。
A:いいえ。まずは役割、態度、お願いしたいことの3つだけでも構いません。慣れてきたら具体例や前提資料を足してください。
Q:この型はChatGPTでも使えますか。
A:使えます。これは特定のAIだけの裏技ではなく、指示の組み立て方の考え方です。お使いのAIで同じように試せます。
Q:英語で書いた方が精度は上がりますか。
A:日本語のままで問題ありません。大事なのは言語ではなく、前提と役割をきちんと渡すことです。
Q:この型はどこの情報ですか。
A:Claudeの開発元であるAnthropicが公式に公開したセッションと、公式の学習教材で示されている考え方をもとにしています。
まとめ
大事な点を3つにまとめます。
・AIの答えのブレは才能ではなく、渡した情報の不足から生まれます。
・公式が示す型は10個の部品で、並べる順番にも意味があります。
・まずは役割・態度・依頼の3つから。ひな形を1枚つくれば誰でも再現できます。
AIへの指示は、特別なセンスではなく組み立てです。今日つくったひな形が、明日からのあなたの相棒になります。
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