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2026/06/28

「画面を録画するだけ」でAIが事務作業を代行する時代へ

筆者/喜多 辰徳

経費の精算、毎月の定例レポートのダウンロード、決まった手順でくり返す入力作業。「これ、誰かに任せられたら」と思いながら、結局いつも自分でこなしている方は多いのではないでしょうか。

OpenAIが2026年6月18日に公開したCodexの新機能「Record & Replay」は、その「任せる」を現実に近づける一歩です。やり方をパソコンの画面上で一度やって見せるだけで、AIがその手順を覚え、次回から代わりに進めてくれます。プログラミングの知識はいりません。

この記事では、何ができるのか、どう使うのか、そして現場で使ううえでの注意点までをやさしく整理します。


「録画して覚えさせる」とはどういうことか

これまでAIに作業を任せるには、やってほしいことを言葉で細かく説明する必要がありました。Record & Replayはこの前提をひっくり返します。利用者がMac上で作業を一度実演すると、AIがその操作を観察し、再利用できる「スキル」という手順書に変換します。

OpenAIの公式ドキュメントによると、このスキルには「いつ使う手順か」「どんな入力が必要か」「どういう順番で進めるか」「結果をどう確認するか」が書き込まれます。ただ画面の動きをそのまま再生するのではなく、作業の意味を読み取って手順として整理してくれるわけです。

完成したスキルは、あとから中身を開いて修正できます。一度きりの録画で終わらせず、現場に合わせて育てていける点も特徴です。


どんな作業に向いているのか

OpenAIが例として挙げているのは、経費の精算、駐車スペースの予約、決まった形式での案件登録、動画の公開、定期レポートのダウンロードといった作業です。

これらは開発者向けの専門作業ではありません。どの職場にも必ずあるのに、頻度のわりに自動化の手間が見合わず、ずっと手作業のまま残ってきた地味な事務です。

たとえば動画公開の手順を一度録画しておけば、次からは「この動画を公開して」と伝えるだけで、AIが同じ手順をたどります。アップロードするファイルやレポートの対象期間など、その回ごとに変わる値だけを渡せば、残りはAIが進めてくれます。


使い方の流れ

公式ドキュメントが示す手順は次のとおりです。

・Codexアプリの「プラグイン」画面を開く

・メニューから「Record a skill(スキルを記録する)」を選ぶ

・AIに作業の目的や背景を伝える

・録画の許可を出し、いつもの作業を実演する

・終わったらメニューバーなどから録画を停止する

あとはAIが録画を読み取り、手順書の草案をつくります。気になる箇所は、AIに頼んで直してもらえます。難しい設定画面やプログラムを書く場面は出てきません。


使う前に知っておきたい注意点

便利な機能ですが、条件があります。今のところMac専用で、AIがパソコンを操作する機能「Computer Use」が有効になっていることが前提です。提供地域は、欧州経済領域・英国・スイスを除くとされています。日本はこの除外には含まれないため、国内では利用できます。

もう一つ大切なのが録画の中身です。OpenAIは、作業に関係のない画面やパスワードなどの機密情報を録画に含めないよう呼びかけています。画面を記録する仕組みである以上、社内情報やお客様の個人情報をうっかり映し込むリスクは現実的なものです。録画の開始と停止は利用者が自分で操作できますので、必要な範囲だけを短く記録するのが安全です。


FAQ

Q. プログラミングの知識は必要ですか?

A. 必要ありません。やってほしい作業を画面上で実演するだけで、AIが手順書をつくります。

Q. 一度録画したら、まったく同じことしかできないのですか?

A. いいえ。アップロードするファイルや日付の範囲など、その回ごとに違う値を渡せます。AIは手順の意味をくみ取って進めるため、毎回まったく同じ内容を再生するわけではありません。

Q. 日本で使えますか?

A. 使えます。提供対象から除外されているのは欧州経済領域・英国・スイスで、日本は含まれています。ただしMacで、かつComputer Useが有効になっている必要があります。

Q. 録画した内容はどう扱えばよいですか?

A. パスワードや個人情報など、見られて困る情報は録画に映さないようにしてください。必要な作業の範囲だけを短く録ることがすすめられています。


まとめ

今回のポイントは3つです。

・AIに作業を「言葉で説明する」時代から、「やって見せて覚えさせる」時代に入りつつあります

・対象になるのは経費精算や定例レポートなど、現場に眠る地味なくり返し作業です

・使える環境の条件と、録画に機密情報を含めない配慮が欠かせません

特別なスキルがなくても、いつもの作業を見せるだけでAIが引き継いでくれる。その入口がいよいよ身近になってきました。まずは自分の一日の中にある「毎回同じ手順」を一つ書き出してみることから始めてはいかがでしょうか。

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