2026年8月28日(金)、南砺市商工会女性部の皆さまを対象に、生成AI活用セミナーを開催しました。テーマは「スマホ1台でできる!AIでチラシを作ってみよう」です。
女性部での生成AI勉強会は、今回が2回目にあたります。前回がAIそのものを知る回でしたので、今回は全員がスマホを手に持ち、帰るときにチラシを1枚持ち帰ることをゴールに設定しました。ChatGPTのアプリを入れるところから始めて、終了間際には会場のあちこちで自分の作品を見せ合う時間になりました。
開催概要
・日時:2026年8月28日(金)19:00〜(約90分)
・会場:※要確認
・主催:南砺市商工会女性部
・テーマ:スマホ1台でできる!AIでチラシを作ってみよう
・講師:柏野 真吾(株式会社AI-Brain 代表取締役社長)/木元 拓(株式会社AI-Brain 公認パートナー)
・対象:南砺市商工会女性部の皆さま
・参加人数:※要確認
・使用ツール:ChatGPT(デモでGemini、Gensparkを紹介)
前半は柏野が生成AIの現在地と注意点を整理し、後半は木元が実際にチラシを作るワークを担当しました。
表紙画像は、写真1枚と4行の指示から生まれた
この日のゴールは三つに絞られていました。ChatGPTをスマホで使えるようになること、AIへの頼み方のコツがわかること、そして自分のチラシを1枚作ってみることです。知識ではなく成果物を持ち帰る設計が、90分を貫いていました。
柏野が最初に見せたのは、当日の投影資料の表紙です。アニメ風のキャラクターが描かれたその画像は、柏野自身の顔写真をもとに生成AIで作ったものでした。
指示に使ったのは、たった4行でした。添付した画像をもとに講演の表紙画像を作ってほしいこと、Googleスライドで使うこと、テーマは生成AI活用であること、アニメ風で参加者がワクワクする画像にしてほしいことを書き添えただけです。これで候補が3案返ってきました。
あわせて共有されたのが、生成AIの癖です。同じ写真に同じ指示を出しても、次に返ってくるものは同じになりません。この日の参加者も同じ資料で同じ手順を踏みますが、出来上がるものは一人ひとり違うものになると、あらかじめ伝えられました。
便利さの裏にある、権利の話
続いて柏野が見せたのは、同じ写真を人気アニメ作品の画風に寄せて生成した例でした。AIはまずその作品の画風を調べに行き、特徴を反映した画像を返してきます。
問題はその先です。生成物そのものの権利は作った人に帰属しますが、既存作品の著作権はそれより強く働きます。プライベートで家族と楽しむ分には構わないものの、SNSに投稿したり自社の宣伝に使ったりすれば、権利侵害として指摘を受ける可能性があります。チラシは外に出すものですから、どこまで使ってよいのかという線引きは、実践に入る前に押さえておくべき前提でした。
「正しそう」と「正しい」は違う
柏野が自身の体験として紹介したのが、自宅の庭木の相談でした。大きくなりすぎたアオダモの写真を撮り、どのように剪定すればよいかをビジュアルで教えてほしいと頼むと、写真の上に切る位置と残す枝を書き込んだ図解が返ってきました。
ところが柏野は、この提案をまだ実行していないと話しました。理由は二つあります。一つ目は、自分が剪定の専門家ではないため、その答えが正しいかどうかを判断できないことです。二つ目は、AIが出した剪定後の完成イメージが、思い切って切り詰めた寂しい姿だったことでした。技術的には正しくても、望んでいた姿とは違っていたわけです。
なぜこうなるのかも、仕組みから説明されました。AIは「答えられない」と評価されることを避けるように作られているため、確実にわからないことでも、それらしい答えを返してきます。学習の際にも、求めている情報だけでなく反対の内容まで丸ごと取り込んでいます。
対策として共有されたのは、自分でチェックできる範囲の情報を生成させること、別のAIツールや検索で裏を取ること、指示文に「わからないときはわからないと言って」と書き添えることでした。
最初にしておきたい、たった一つの設定
ここから木元にバトンが渡り、参加者全員でChatGPTのアプリを入れるところから始めました。すでに入っている方はログイン状態の確認まで、これからの方は隣同士で画面を見せ合いながら進めています。
全員が同じスタートラインに立ったところで、木元がまず案内したのが設定の変更でした。設定からデータコントロールを開き、モデルの改善に協力する項目をオフにします。これを切っておけば、入力した内容がAIの学習に使われることを防げます。
あわせて、AIを使うときの三つのお約束が示されました。一つ目は個人情報や社外に出せない情報を入れすぎないこと、二つ目はAIの答えをそのまま信じすぎないこと、三つ目は最後に必ず自分で確認することです。AIは結果に責任を取ってくれません。外に出す前に自分の目で見るという一手間が、いちばんの安全策になります。
「チラシ作って」では、いいチラシは出てきません
この日の中心が、頼み方のコツでした。木元が挙げたのは四つです。
一つ目は、何を作りたいかを明確にすることです。二つ目は、誰向けかを伝えることです。三つ目は、何を入れたいかを具体的に伝えることです。四つ目は、どんな雰囲気にしたいかを伝えることでした。
わかりやすいのが、悪い例と良い例の対比です。「チラシ作って」とだけ頼んでも、思ったようなものは出てきません。これを「女性向けのイベントチラシを作って。日時・場所・内容を入れて、明るく親しみやすい雰囲気にして」と言い換えるだけで、返ってくるものの精度がまったく変わります。
会場で実際に入力してもらったのが、次の例文です。
秋のマルシェのチラシを作って。
40〜60代女性向け。
日時、場所、内容を入れて、
明るく親しみやすく、秋らしい雰囲気にして。
縦長でスマホで見やすくしてください。何を作るか決められない方には、それ自体をAIに相談する方法も紹介されました。初めてチラシを作りたいがどんなテーマがよいかと聞けば、候補を出してくれます。そこから、イベントチラシに入れる項目を教えてほしいと重ねれば、テーマ、日時、場所、参加費、対象、定員、内容、持ち物、申込方法、問い合わせ先といった構成要素が返ってきます。お店の案内、イベント告知、作品販売会、ワークショップ募集、女性部の催しなど、題材は自由に選んでいただきました。
「もっと可愛くして」が伝わらない理由
一回で思い通りのものが出ることは、まずありません。そこからが本番です。
修正は「もっと○○して」と追加で伝えていきます。ただし木元が指摘したのは、可愛く、かっこよく、おしゃれに、といった言葉が抽象的すぎるという点でした。人間同士なら通じるニュアンスも、AIには伝わりきりません。
そこで必要になるのが、抽象語を具体語に置き換える作業です。「もっと可愛くして」であれば、優しく親しみやすいかわいさにすること、色は薄ピンクとアイボリーにすること、丸みのある形にすること、リボンを差し色に使うこと、といった要素に分解します。「おしゃれにして」であれば、雑誌のような洗練された雰囲気にしてほしいと言い換えます。色、形、文字の種類、余白という観点で伝えると、狙いに近づいていきます。避けてほしい要素を先回りして書いておくのも有効です。
それでも噛み合わなくなったときの手立ても共有されました。ChatGPTは前の会話を引きずったまま修正を重ねるため、何度直しても遠ざかっていくことがあります。そのときは一度そのチャットを離れ、新しいチャットにうまくいった時点の内容を持ち込んで作り直したほうが早く進みます。
質疑応答:編集機能と、個人情報の線引き
終盤の質疑では、実務に直結する二つの質問が出ました。
一つ目は、生成された画像の左下にある編集ボタンについてです。ここには消しゴムのような機能があり、画像の一部だけを選んで消すことができます。文章を打ち込んで編集内容を指示することも可能です。以前は直すたびに全体が変わってしまいましたが、いまは残したい部分を残したまま、変えたいところだけを変えられるようになっています。
二つ目は、チラシに会社名や電話番号、住所を入れるのは危険なのかという質問でした。柏野の回答は、お店の情報はそもそも知ってほしい情報なので問題は小さい、というものです。一方で、自宅と店舗が同じ場合など、個人や家族に紐づく情報は慎重に扱う必要があります。前提としてモデルの改善に協力する設定をオフにしておくこと、そのうえでマイナンバーカードや免許証といった本人確認書類は設定の有無にかかわらず入力しないことが補足されました。
参加者の声
セミナー後のアンケートでは、満足度で最高評価をつけた方が多数を占めました。内容のわかりやすさについては、回答者全員が「分かりやすかった」以上を選んでいます。特に興味深かった内容として最も多く挙がったのは、画像生成AIの活用方法とチラシデザインの構成術でした。
今後チラシを作成する予定については、回答者のほとんどが作成の意向を示し、そのうち複数の方が「すぐに作成したい」を選んでいます。会社のチラシやパンフレット作成を具体的に相談したいという声も寄せられました。
次回参加したいテーマとして要望が多かったのは、SNS集客画像の作成、動画編集へのAI活用、Instagramの運用です。チラシの次はSNSへ、静止画の次は動画へと、関心がすでに一段先へ進んでいることがうかがえます。

セミナーを終えて:頼み方は、人に頼むときと同じ
この日いちばん繰り返されたのは、頼み方を具体的にするという一点でした。
何を、誰に向けて、何を入れて、どんな雰囲気で。この四つは、AIに特有のテクニックではありません。デザイナーに発注するときも、スタッフに仕事をお願いするときも、私たちが自然にやっていることです。AIへの指示が難しく感じるのは、相手が機械だから特別な言葉が必要だと身構えてしまうからかもしれません。
一回で完璧なものは出てきません。それでも、少し言い換えて、少し足して、また試す。この往復ができれば、絵が描けなくても、デザインを学んでいなくても、チラシは形になります。この日も、初めてChatGPTを入れた方を含めて、それぞれが自分の一枚にたどり着きました。
大切なのは、今日作れたことで終わらせないことです。次に何か告知が必要になったとき、もう一度スマホを開いてみる。その二枚目、三枚目が、いちばんの上達につながります。
AI活用のご相談を承っています
株式会社AI-Brainでは、商工会・各種団体・企業向けに、生成AIの研修やセミナーを実施しています。今回のようにスマホ1台で参加できる実践型から、業務への導入支援や社内での活用ルール設計まで、対象と目的に合わせて内容を組み立てています。
チラシやパンフレットをAIで作れるようにしたい、SNSの画像制作を内製化したい、といったご相談も歓迎です。無料の30分オンライン相談を承っておりますので、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。
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