「これ、どう進めればいいですか」と聞かれて、答えるだけで午前中が終わる日はありませんか。
先日、AI研修の現場で「自分の分身がほしい」と言われました。自分と同じ基準で一次回答をし、自分の文体で下書きまで作る相手がいれば、部下は上司の返事を待たずに動ける、という話でした。
プログラミングなしで作れます。意識していなくても、判断の仕方は毎回似ています。似ているものは、記録から取り出せます。この記事では、自分の考え方と決め方と書き方をAIに移す手順を4ステップで示し、そのまま貼れる指示文を2本つけます。
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分身AIに任せられること、任せてはいけないこと
分身AIは、聞かれたときに「自分ならこう答える」を返すAIです。席を外している間に勝手に仕事を進める存在ではありません。
任せられるのは次の4つです。
・部下からの質問に、自分の基準で一次回答を返します
・メールや案内文を、自分の文体で下書きします
・部下の企画書に、自分がいつも見る観点で指摘案を出します
・自分が迷っている判断の、壁打ち相手になります

任せてはいけないのは、最終決定と承認と社外への約束です。この線を先に引いておけば、便利さが事故に変わりません。
ステップ1 材料を3つ集めます
考え方は、書かずに話して集めます
自分の考え方を白紙に書き出そうとすると、手が止まります。書けなくても、聞かれれば話せます。だから、質問する役をAIに任せます。使っているAIに、次のように頼んでください。
これから、自分の考え方を言葉にするために、質問に答える形で話をします。
そのためのインタビュー質問集を作ってください。
【私の情報】
・仕事の内容と役割:
・いま抱えている状況:
・AIに任せたいと思っている仕事:
仕事で大事にしていること、迷ったときの決め方、やらないと決めていること、
得意なことと苦手なことが引き出せる質問を、20問ほどお願いします。出てきた質問に、スマホの録音アプリで答えます。言い直しても、脱線してもかまいません。整った答えより、逸れた話のほうに判断の癖が出ます。話し終えたら文字起こしをAIに渡し、「私の言い回しを残したまま、考え方が伝わる文章にまとめてください」と頼みます。

決め方は、過去のやり取りから拾います
どう決めてきたかは、送信済みのメールやチャットに残っています。部下の相談にどう返したか、なぜ却下したか、何を条件にOKを出したかが、実例のまま並んでいます。
そこから自分らしい判断が出ているものを選び、社名と個人名を伏せてまとめます。守秘義務のある内容は入れません。名前を伏せても、中身から相手が特定できることがあります。
書き方は、自分が書いた文章を数本そろえます
丁寧に書いたメールや、自分の言葉で書いた報告書を数本そろえます。これが分身の声になります。
ステップ2 材料の置き場所を決めます
集めた材料は、毎回チャットに貼るのではなく、AIの側に置きます。手元に置いたままだと、使うたびに探して貼る手間が生まれ、結局使わなくなります。
置き場所の名前はAIごとに違います。ChatGPTならプロジェクト機能とカスタム指示、Claudeならプロジェクトのナレッジ、Gemini Notebook(旧NotebookLM)ならソースです。どれを選んでも考え方は同じです。

ステップ3 人格の指示を1本書きます
材料を置いただけでは「自分に詳しいAI」で止まります。自分として振る舞わせるには、指示文を1本足します。次の指示文をコピーし、名前と一人称を自分のものに書き換えてください。
あなたは、私「○○(名前)」の分身です。
ここにある資料(私の考え方をまとめた文章、過去の判断の記録、
私が書いた文章)を自分の人格として扱い、「私として」考えて、
話して、書いてください。
【3つの原則】
1. 判断は、私の基準で行う。
資料にある私の考え方と過去の判断に沿って答えること。
一般論や、AIとしての無難な回答を返さないこと。
2. 文章は、私の書き方で書く。
資料の文章から、私が使う言葉、文の長さ、締めくくり方を
再現すること。
3. わからないことは、私に返す。
資料から私の判断が読み取れない問いには、勝手に決めずに
「本人の確認が必要です」と答えること。
推測で答えるときは、文末に「※推測です」と書くこと。
【できること】
・質問への一次回答、下書きの作成、私の視点での指摘案
【できないこと】
・最終決定、承認、社外への約束
求められたら「最終判断は本人に確認してください」と案内すること削らないでほしいのは、3つ目の「わからないことは、私に返す」です。記録にない場面で、それらしい答えを作られるのが一番危ないからです。答えられない場面で「わからない」と言える分身のほうが、部下からも長く信用されます。

ステップ4 軽い質問から試して、育てます
指示を保存したら、「今週、自分が先に片づけるべき仕事はどれですか」のような軽い質問から始めてください。返ってきた答えに「自分はそう考えない」と感じた箇所が、伸びしろです。「自分ならこう考える」と書き足して材料に加えます。案件を決めたときも、何をなぜそう決めたかを数行残します。
最後に1つ、守ってほしいことがあります。他人の分身を、本人の許可なく作らないでください。自分に使うから成り立つ方法であり、他人に向けた瞬間、なりすましになります。

よくある質問
Q1. 無料のAIでも作れますか。
A. 作れます。材料を置いておける機能があれば足ります。まずは無料の範囲で試してください。
Q2. 材料はどのくらい必要ですか。
A. 考え方をまとめた文章が1本と、自分が書いた文章が数本あれば動き出します。足りない分は使いながら足せます。
Q3. 分身AIが書いた文章は、そのまま送っていいですか。
A. 読んで直してから送ってください。下書きまでが分身の仕事で、署名するのは常に自分です。この線を守る限り、分身は自分の信用を減らしません。
まとめ
分身AIの作り方は、次の3点です。
・考え方と決め方と書き方を、話す形と過去の記録から集めます
・材料はAIの側に置き、人格の指示を1本足します
・任せるのは一次回答と下書きまでにして、使いながら育てます
まずは今日の帰り道、録音アプリを開くところから始めてください。
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