2026年9月11日(金)、金沢市片町のSALABO Music Bar&Coffee Parlorにて「Local AI 北陸」第5回を開催しました。テーマは「みんなは生成AI使って、実務でどんなことを実現しているのか」です。14名の方にご参加いただきました。
今回は、講師が前に立って教える回ではありません。参加者ご自身の取り組みを持ち寄っていただく「参加者リアルトーク」の形式で進めました。うまくいった使い方だけでなく、試したけれど続かなかったことや、社内で止まったままになっている理由も含めて共有する時間になりました。
今回のプログラム
・Local AI 北陸について
・ご挨拶(株式会社AI-Brain 代表取締役 柏野 真吾)
・リアルトーク「デザインとAI」(貝澤 奏氏)
・リアルトーク「AIアニメ・動画について」(唐仁原 哲大氏)
・リアルトーク「生成AIによって変わったお店の選び方」(喜多 辰徳)
・質疑応答
・懇親会
きれいな導入事例よりも、同じ規模の会社が今やっていること
冒頭では、このコミュニティの約束事をあらためて共有しました。営業や売り込みを目的とした参加はご遠慮いただくこと、相手を否定せずマウントを取らないこと、知識や経験をシェアし合うギバーであることの三つです。
「他社は生成AIを使って、実務のどこまでやっているのだろうか」。北陸の経営者や担当者の方から、こうした声をよくお聞きします。整理された導入事例よりも、同じ地域で同じくらいの規模の会社が実際に何をどこまでやっているのか。そちらのほうが明日からの一歩につながると考え、今回の形式にしました。
AIアニメは、動かす前の設計で決まる|唐仁原 哲大氏
一つ目の発表は、公認パートナーの唐仁原 哲大氏による「AIアニメ・動画について」です。株式会社AI-Brainのプロモーション動画『効率爆進 エーアイブレイン』、約93秒のオープニング映像を題材に、制作の裏側を共有していただきました。
印象的だったのは、制作時間の内訳です。目的や物語、人物と世界観を決める「まだ動かさない時間」がおよそ7割を占め、映像や音の生成と編集はおよそ3割にとどまります。最初の仕事はロボットを描くことではなく、誰に、どこで、何を伝えるのかを決めることです。
今回の題材では、報告書づくりのような社内の業務課題を「悪の帝国」に置き換え、伝えたい内容を物語へ変換していきました。人物の顔や衣装、ロボットの形や配色、背景を先に固めておくと、どのカットでも同じ人、同じ世界に見える状態をつくれます。動画にする前には十二カットの絵コンテで見せ場を設計し、敵、発進、承認、合体、戦闘、必殺技、帰還という流れを組み立てました。

生成できたからといって、そのまま採用できるわけではありません。試作や不採用、比較用を含めた動画カードは79枚に上りました。使う部分を選び、音に合わせ、一本につなぐ。最後に作品へ仕上げるのは人の手です。
全体の工程は、ヒアリングとモデル選定に始まり、台本、素材設計、絵コンテ、動画生成、編集、納品まで七つに分かれます。そして大きな修正は、動画化の前に済ませておきます。ここが費用と納期を左右する分岐点になります。
AIで減るのは作業であり、消えないのは判断である。唐仁原氏の締めくくりは、そのまま次の発表にもつながる言葉になりました。
生成AIによって変わった、お店の選び方|喜多 辰徳
二つ目は、編集長の喜多による「生成AIによって変わったお店の選び方」です。飲食店を例に、お客様が店を選ぶ経路そのものが変わりつつある現状を共有しました。
変化はすでに始まっています。2026年8月7日には、日本でもGoogleマップに「マップに相談」機能が順次追加されました。一覧を眺めて選ぶ体験から、条件を伝えて答えを受け取る体験へ。お客様が見る画面は同じでも、裏側の決まる仕組みが変わってきています。
この流れが進むと、AIは候補出しだけでなく、空席確認から予約、当日のリマインドまでを担うようになります。そのとき、お客様が自分の目で比べるのはAIが提示した数軒だけです。そこから漏れた店は、存在しないのと同じ状態になってしまいます。
判断基準も変わります。これまでは写真の美しさや雰囲気、そして予約サイトへの広告費でした。これからはAIが条件との一致を見ます。条件として書かれていないことは、AIにとって存在しません。拾われない店に共通するつまずきは、情報が古いこと、媒体ごとに食い違っていること、抽象的で照合する手がかりがないことの三つです。

だからこそ個人店には勝ち目があります。規模の大きさよりも、その店ならではの具体的な条件が言葉になっているかどうかが鍵になるからです。当日は、今週中に着手できる準備として、誰に何が向く店なのかを言い切ること、基本情報の食い違いをなくすこと、メニューを文字で残すこと、お客様の声を残る形にすること、自店がどう見えているかを月に一度確かめることの五つを紹介しました。
あわせて注意点も共有しています。AIは自信たっぷりに間違えます。実際とは違う営業時間や、存在しないメニューを答えることがあるため、誤りを見つけたら、まず自店の公式情報を直すところから始めます。後半では、地域メディア「金沢日和」で進めているAI検索向けの情報整備の取り組みについても触れました。
これからの来店動線は、AIで候補店を絞り込み、SNSで雰囲気を確かめ、Googleマップなどの口コミで判断するという流れになります。AIに任せられるのは入り口までで、その先で選ばれ続けるのは、これまで通り人の仕事です。
参加者の声
・皆さんがどう使っているのかのイメージが持ててよかったです
・発表されたお店選びの動線が、まさに自分が最近やっていることで納得感がありました
・これからのお店探しの条件が変わっていく話が興味深かったです
・AIでいろんなことができることが分かりました

アンケートの満足度は5点満点で、最高評価が多数を占めました。一方で、動画に使う映像や音楽の著作権はどのように扱われるのかという質問もいただいています。
今後取り上げてほしいテーマとしては、業種別の実務活用事例、AIスタートアップやビジネスの動向、AI倫理と著作権などの法的側面、最新AIモデルの動向、ハンズオン、アプリ開発の進め方が挙がりました。開始時の飲み物のご案内についてもご要望をいただきましたので、次回の運営に反映します。
次回開催について
「Local AI 北陸」は、金沢・北陸エリアでAIを学び、使い、試している実践者が集う少人数コミュニティです。成功例も失敗談も気軽に共有し、今の取り組みや悩みを持ち寄って、明日から試せる一歩を持ち帰る場を目指しています。
次回の「Local AI 北陸」第6回は、2026年11月27日(金)の開催を予定しています。会場など詳細は、決定次第「AIのチカラ」にてお知らせします。
過去回のレポートはこちらからご覧いただけます。
・第1回(キックオフ会)開催レポート https://ai-no-chikara.com/posts/local-ai-hokuriku-event-report-kickoff
・第2回 開催レポート|AI活用トレンド共有とエージェント型IDE体験談で広がった視野 https://ai-no-chikara.com/posts/local-ai-hokuriku-002-event-report
・第3回 開催レポート|Claude Code入門と「即席プロトタイプ」で沸いた夜 https://ai-no-chikara.com/posts/local-ai-hokuriku-003-event-report
・第4回 開催レポート|商品・サービスの魅力をAIで見える化する https://ai-no-chikara.com/posts/local-ai-hokuriku-004-event-report
Claude Codeをはじめ、生成AIを自社の業務にどう活かすか。一緒に考える無料相談(30分)を行っています。お気軽にご相談ください。
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