ChatGPTやClaudeを表計算や自動化ツールにつなごうとすると、「APIキー」という長い英数字の文字列を発行することになります。その文字列を、メモ帳やメールの下書き、社内チャットに貼ったままにしていないでしょうか。
APIキーは、AIを使うための合鍵です。合鍵を持っている人は持ち主のアカウントでAIを動かせて、その請求は持ち主に届きます。
パスワード管理アプリの1Passwordを使うと、こうした鍵を1か所にしまい、AIに中身を見せずに使えるようになります。読み終えるころには、手元のAPIキーをどこへ移せばいいかと、Claudeにログインを任せるときにパスワードが守られる仕組みが分かります。
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APIキーは、AIを自社の道具につなぐ合鍵
APIキーは、ChatGPTやClaude、Geminiを、ほかのツールから呼び出すときに使う文字列です。表計算ソフトにAIの要約を組み込んだり、自動化ツールで問い合わせへの返信案を作らせたりするときに、AIの発行元の管理画面で作ります。
このキーには、パスワードと同じ重みがあります。OpenAIのヘルプは、キーが漏れると第三者に勝手に使われ、思わぬ請求やデータの損失につながると注意しています。
やっかいなのは、APIキーにはログイン画面がないことです。パスワードならブラウザが保存を勧めてくれますが、APIキーは発行元によっては作った直後に一度しか表示されません。その場でコピーしたキーをメモ帳やメールの下書きに貼っておくと、どこに何の鍵があるのか、だんだん分からなくなっていきます。

理由1:APIキーを「金庫」の1か所にまとめられる
1Passwordは、パスワードやカード情報を暗号化してしまっておくアプリです。ログイン情報のほかに、APIキーを入れるための「API認証情報」という専用の項目が用意されています。
キーと一緒に「何の鍵か」を書き残す
API認証情報には、キーの文字列と一緒に、どのサービスのキーで何の作業に使っているかをメモできます。発行元・用途・作った日を書いておくと、不要になったキーを止めるときに迷いません。
社内で分けるときも、チャットに貼らずに済む
会社で使うプランでは、鍵をしまう保管庫をメンバーと共有できます。チャットで送ったキーは履歴に残り続けますが、保管庫なら共有する相手を選べます。担当が替わったときは、共有を外したうえでキーを作り直すと安心です。
パソコンに置きっぱなしのキーを見つける機能も
Claude Codeなどで自分用のツールを作っている人向けに、1Passwordは2026年7月、パソコン内の設定ファイルに書かれたままのAPIキーを見つけて知らせる機能を広げると発表しました。見つかったキーは1Passwordに取り込み、元のファイルから消せます。この機能は段階的に提供されています。
理由2:Claudeにログインを任せても、パスワードはAIに見えない
AIにブラウザの操作を任せる使い方が広がっています。Claudeも、Chrome拡張機能のClaude in Chromeを使えば、入力や予約の作業を代わりに進められます。困るのはログイン画面で、パスワードを会話で教えると、その文字列がやり取りの中に残ってしまいます。
2026年7月16日、1Passwordは「1Password for Claude」を発表しました。
ログインの流れ
・Claudeがログインの必要なページに来ると、1Passwordに依頼を出します。
・1Passwordが、どのログイン情報を使うかを画面に表示します。
・利用者が承認し、指紋などで本人確認をします。別のログイン情報を選ぶことも、断ることもできます。
・1Passwordが、Claudeから見えない経路でページに直接入力します。
Claudeに伝わるのは、項目の名前やユーザー名、保存してあるサイトのアドレスまでです。パスワードとワンタイムパスワードは、Claudeの会話の中にも記憶にもAnthropicのシステムにも入らない、と両社が説明しています。保存したサイトと一致するページにしか入力しない決まりも、人が使うときと同じです。合鍵をAIに渡すのではなく、管理人の1Passwordが扉だけを開ける形だと考えると分かりやすくなります。
AIがブラウザを操作している間は、1Passwordが入力候補や保存の案内をページから消す「Agentic Mode」も一緒に入りました。AIが届くのは、その作業のために利用者が許可したログイン情報だけです。

使うための条件
・Macで使います。2026年10月時点で、Windowsには対応していません。
・Claudeのデスクトップアプリと、Claude in Chromeを使います。
・Claudeの有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)が必要です。
・1Passwordのデスクトップアプリとブラウザ拡張機能が必要です。
入力できるのはログイン情報だけで、パスキーなどほかの項目にはまだ対応していません。Claudeのヘルプではベータ版として案内されており、TeamとEnterpriseでは管理者が設定でオンにする必要があります。
AIが書いた詐欺メールにも「URLの照合」が効く
AIはログインの代行だけでなく、詐欺メールづくりにも使われています。フィッシング対策協議会が2026年9月18日に公表した8月の報告件数は82,338件で、前の月より約24.5%増えました。報告には、AIにメール文面を作らせたとみられる指示文が、メール本文に残っていた例も載っています。
文面が自然になるほど、日本語の不自然さで偽物を見抜く方法は通じにくくなります。そこで役に立つのが、パスワード管理アプリの自動入力です。登録したサイトのアドレス(URL)と一致しなければ、ログイン情報を入力しません。同協議会も、パスワード管理アプリは自分で登録した正規サイトにしか自動入力しないため偽サイトに反応しない、として利用を勧めています。
ただし、1Passwordも万能ではありません。公式の説明でも、正規サイトの一部が乗っ取られた場合など、見抜きにくいケースではリスクが残ると書かれています。自動入力されないサイトで、パスワードを手でコピーして貼り付けないことが大切です。1Passwordは、見覚えのないサイトのパスワード欄に貼り付けようとすると警告を出せます。

今日からできる3つの手順
手順1:14日間の無料体験で始める
料金は日本語の公式サイトでもドル建てで案内されています。2026年10月5日時点で、個人プランは年払いで月3.99ドルです(新規の人は最初の1年に割引があります)。10人分の利用枠を含む会社向けのTeams Starter Packは年払いで月24.95ドルで、どのプランにも14日間の無料体験があります。
手順2:散らばったキーを集めて、元の場所から消す
メモ帳、メールの下書き、社内チャット、デスクトップのテキストファイルを探します。見つけたキーはAPI認証情報に移し、発行元と用途を書き添えます。移し終えたら、元のメモやメッセージは消しておきます。
手順3:人に送ったことのあるキーは作り直す
チャットやメールで送ったキーは、移した後も過去のやり取りに残っています。発行元の管理画面で古いキーを無効にし、新しく作ったキーを1Passwordに保存します。OpenAIのように利用額の上限を決められる発行元では、上限も設定しておくと、万一のときの請求を抑えられます。
よくある質問
Q. ブラウザのパスワード保存機能では足りませんか?
ログイン情報だけなら、ブラウザやスマートフォンの保存機能も、登録したサイトでしか自動入力しない点は同じです。1Passwordは、APIキー専用の項目やチームで分け合う保管庫があり、ログイン以外の鍵もまとめて整理しやすい点が違います。
Q. Windowsのパソコンでも使えますか?
1Password自体はWindowsでも使えます。Claudeにログインを任せる連携は、2026年10月時点ではMacだけです。
Q. Claudeは、どのサイトにログインしたかも分からないのですか?
どのログイン情報を使ったかは分かります。項目の名前、ユーザー名、保存してあるサイトのアドレスはClaudeに伝わります。伝わらないのは、パスワードとワンタイムパスワードの中身です。
Q. APIキーをAIのチャット欄に貼ってしまいました。どうすればいいですか?
キーを作り直すのが確実です。発行元の管理画面で古いキーを無効にすれば、チャットに残った文字列では使えなくなります。
まとめ
AIを使うほど、APIキーやログイン情報という「鍵」は増えていきます。1Passwordを使えば、APIキーを1か所にまとめられ、Claudeにログインを任せるときもパスワードをAIに見せずに済みます。まずは、メモやメールに貼ったままのAPIキーを探して1Passwordに移すところから始めてください。人に送ったことのあるキーは、その日のうちに作り直しておくと安心です。
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