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2026/10/08

社内システムを自作するには?非エンジニアがAIで始める3ステップ

筆者/喜多 辰徳

「うちの仕事に合うシステムがない」と感じたことはありませんか。

安い既製品を入れると、自社のやり方に合わず結局Excelと手作業に戻ってしまいます。かといって自社に合わせた開発を頼むと、見積もりが高すぎて手が出ません。多くの会社やお店が、この二択の前で立ち止まってきました。

いま、その二択に3つ目の道が加わりつつあります。現場を一番よく知る人が、AIに手伝ってもらいながら自分で仕組みを作る道です。この記事では、実際にその道を歩いた経営者の事例をもとに、プログラミング未経験の人が社内の仕組みづくりを始めるための考え方と手順を紹介します。

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「既製品か特注か」の二択で止まっていませんか

社内の仕組みを整えようとすると、多くの場合、次の2つから選ぶことになります。

・既製品のサービス:月額が手ごろで、すぐ使える。ただし自社の細かいやり方には合わせにくい

・自社向けの開発:やり方にぴったり合わせられる。ただし費用も時間も大きくかかる

この結果、「既製品を入れたけれど、足りない部分を手作業で埋めている」状態の会社が少なくありません。たとえば、発注の数を毎回電卓で計算したり、シフトの希望をLINEで集めて手で表に写したり、売上を毎晩まとめて社長に送ったりする作業です。こうした作業は一つひとつは小さくても、毎日積み重なると大きな負担になります。

問題は、この「すき間の作業」が、既製品にも開発会社にも頼みにくいことです。業務が細かすぎて既製品には合わず、開発を頼むほどの規模でもないからです。


現場の人が作る「第3の道」が現実になった

この状況を変える事例が、2026年9月に公開されました。長野県でパンと日用品の店「わざわざ」を営む会社の代表、平田はる香さんがnoteに書いた「社長はエンジニア」という記事です。

平田さんはプログラミングの経験がありません。それでも、AIのClaudeと、作業を代わりに進めてくれるClaude Codeを使い、2026年3月下旬からおよそ5ヶ月で26の社内システムを自作したと書いています。商品情報をまとめる台帳、シフト調整や社内連絡を手伝う事務用のAI、パンの配分を計算する仕組み、日ごとの収支が見える画面などです。自動化には、Googleスプレッドシートなどを自動で動かせるGoogle Apps Script(GAS)も使われています。

記事の中で平田さんは、効率化の目的は、スタッフが人にしかできない仕事に集中できるようにすることだと語っています。事務を担当していた人が店長になった例も紹介されています。

大事なのは、特別な才能の話ではないという点です。記事の結論は、コードの知識より現場を理解していることのほうが大事だ、というものでした。


作り手に必要なのはコードより「困りごとを言葉にする力」

なぜ現場の人が作り手に向いているのでしょうか。理由は、AIに渡すべき情報を一番持っているのが現場の人だからです。

AIはコードを書くのが得意です。一方で、「この店では何曜日にどの商品が多く出るか」「誰がどの作業で困っているか」は知りません。仕組みの出来を左右するのは、この現場の事情をどれだけ具体的に伝えられるかです。

開発会社に頼む場合、この事情を担当者に説明し、仕様書にしてもらい、確認を重ねる必要がありました。現場の人が直接AIに伝えられれば、その往復がまるごと短くなります。

筆者も、この編集部の記事づくりの流れをClaude Codeで組んでいます。うまくいくかどうかを分けたのは、技術よりも「どこで何に困っているか」を言葉にできたかどうかでした。


始め方は3ステップ

平田さんの記事で紹介されていた進め方は、とてもシンプルです。ここでは、その3つのステップを初めての人向けに言い換えて紹介します。

ステップ1:一番大きい困りごとを書き出す

最初に、社内で一番時間を取られている作業を1つ選びます。ポイントは「誰が・いつ・何に・どれくらい時間を使っているか」まで書くことです。「発注が大変」ではなく、「店長が毎日閉店後に、翌日の発注数を手で計算している」と書きます。

ステップ2:AIに渡して案を出させる

書き出した困りごとを、そのままAIに渡します。いきなり作らせるのではなく、まず質問させるのがコツです。次のような依頼文から始めると、話がかみ合いやすくなります。

あなたは業務改善の相談相手です。
次の困りごとを、Googleスプレッドシートとその自動化機能(Google Apps Script)で楽にする方法を考えてください。

【困りごと】
(誰が・いつ・何に・どれくらい時間を使っているか)

【今のやり方】
(紙・Excel・LINEなど、今どう回しているか)

【理想の状態】
(どうなったら楽になるか)

まず、作る前に確認したいことを3つ質問してください。
その後、いちばん小さく試せる形を1つ提案してください。

ステップ3:7割の出来で試して直す

最初から完璧を目指さないことが大切です。7割くらいの出来で実際の業務に使ってみて、困ったところをAIに伝えて直してもらいます。使いながら直すほうが、机の上で考え込むより早く、現場に合った形になります。


最初の1つにおすすめの業務

初めて作るなら、失敗しても影響が小さく、毎日くり返す作業を選ぶと効果を実感しやすくなります。

・発注数の計算:過去の売れ行きから、翌日の発注数の目安を出す

・シフトの希望集め:フォームで集めた希望を、自動で一覧表にまとめる

・日報や売上のまとめ:各店や各担当の数字を、毎日同じ形の表に集める

どれもGoogleスプレッドシートを中心に作れるものです。すでにスプレッドシートを使っている会社なら、今の表をそのまま土台にできます。

逆に、お金の支払いや個人情報を大量に扱う業務は、最初の1つには向きません。慣れてから、または専門家に相談しながら進めるのが安全です。


自作するときに気をつけたいこと

自分で作れるようになると、つい何でも作りたくなります。続けていくために、次の3点は最初から意識しておきましょう。

・作った人しか分からない状態にしない:何のための仕組みか、どう使うかを短いメモで残しておく

・データの置き場所を決めておく:あちこちに表が散らばると、どれが正しいか分からなくなる

・既製品のほうが向く業務は既製品を使う:会計や給与計算のように決まりごとが多い業務は、無理に自作しない

自作は、既製品を全部置き換えるものではありません。既製品と特注のあいだにある「すき間の作業」を埋める道具だと考えると、うまく付き合えます。


よくある質問

Q. プログラミングをまったく知らなくても本当に作れますか?

作れる可能性は十分にあります。コードを書くのはAIの役目で、人の役目は困りごとを具体的に伝え、できたものを試して直すことです。ただし、最初は小さな作業から始めるのがおすすめです。

Q. Claude Codeは難しい操作が必要ですか?

Claude Codeは、Claudeのデスクトップアプリからも使えます。黒い画面で命令を打ち込む使い方だけではないので、初めての人でも入りやすくなっています。

Q. 何から作ればいいか分かりません

社内で「毎日くり返していて、時間がかかっている作業」を1つ書き出すところから始めてください。発注・シフト・日報のまとめは、多くの会社で最初の候補になります。

Q. 作った仕組みが止まったらどうすればいいですか?

止まったときの画面やメッセージをそのままAIに見せて、原因と直し方を聞くのが近道です。あわせて、止まっても手作業で回せるように、元のやり方を残しておくと安心です。


まとめ

社内の仕組みづくりは、「既製品か特注か」の二択だけではなくなりました。現場を一番よく知る人が、AIと一緒に作るという道があります。

・必要なのはコードの知識より、困りごとを言葉にする力

・一番大きい困りごとを書き出し、AIに渡し、7割の出来で試す

・最初の1つは、毎日くり返す小さな作業から選ぶ

まずは今日、社内で一番時間を取られている作業を1つ書き出すところから始めてみてください。

▼3分で理解できる!マンガ風スライドはこちら


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