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2026/04/20

生成AIで企画書・LPのクオリティを上げる「準備の鬼軍曹」思考法

筆者/喜多 辰徳

「AIに構成案を考えて、と頼んだら、去年の案件とそっくりな答えが返ってきた」。

そんな経験はありませんか。生成AIは有能なはずなのに、出力はいつも70点止まり。原因は、あなたの使い方ではなく「AIにいきなり考えさせている」ことにあります。実はこれ、広告やコンサルティングの世界では当たり前の話です。プロが一流の成果物を出せるのは、手を動かす前に徹底的に準備しているからです。

本記事では、その準備工程をAIに移植する方法を、具体的に解説します。


なぜAIの回答は「70点」で止まるのか

生成AIは、優等生です。膨大な文章を学習し、質問に対して「もっともらしい平均解」を素早く返すように設計されています。この「平均を外さない」性質こそが、企画書やLPの品質を70点に固定してしまう原因です。

優等生の答えは、減点されない代わりに加点もされません。尖った視点や現場の肌触りは、学習データの中で少数派なので、出力段階で削ぎ落とされます。「兼六園のLPを作って」と指示すれば、どこかで見た「歴史・見どころ・アクセス」の構成が返ってくるのは必然なのです。

この性質は、特定のツールや特定のモデルに限った話ではありません。ChatGPT、Claude、Geminiのいずれを使っても、構造は同じです。モデルを乗り換えても解決しないのは、問題がモデル側ではなく、使い手の「準備不足」にあるからです。


プロの現場は「準備8割・制作2割」

クリエイティブの世界には、古くから「準備が仕事の8割」という考え方があります。

広告代理店では、制作に入る前に「ブリーフ」と呼ばれる文書を固めます。ターゲット、課題、インサイト、競合状況を徹底的に言語化し、その上で初めてコピーライターやアートディレクターが動き始めます。コンサルティング業界でも、提案資料を書き始める前に一次情報の収集と論点整理に時間の大半を使います。

プロの成果物が凡庸でないのは、才能の差ではなく準備の差です。現場を歩き、口コミを読み込み、一次情報を積み上げてから初めて構成を考える。この順序が守られているから、独自性のあるアウトプットが生まれます。

生成AIを使うときも、この原則は変わりません。むしろAIは「準備の有無」によって出力の質が露骨に変わる道具です。優等生であるがゆえに、与えた材料の範囲内で精一杯平均解を返そうとするからです。


「いきなり考えさせない」の実践

兼六園のLPを例に取ります。多くの人は「まずは構成案を考えて」と入力したくなりますが、ここをグッと堪えます。構成を依頼する前に、AIに以下を徹底的に調べさせます。

・対象の歴史的背景(施設や商品の成り立ち、時代ごとの変遷)
・顧客の生の声(OTAの宿泊施設コメント、レビューサイトの評価)
・SNSでの実際の反応(何に感動し、何に不満を持っているか)
・競合の発信内容(同カテゴリのLPが何を訴求しているか)

この段階でAIが構成案を出そうとしても、いったん止めます。「回答はまだいい、もっと調べて」と押し返すのが鬼軍曹の仕事です。

ポイントは、深さと量を妥協しないことです。「歴史を3行でまとめて」ではなく「時代ごとの変遷を可能な限り詳細に」と依頼します。AIは指示された深さに合わせて出力を調整するため、浅く頼めば浅い材料しか集まりません。準備段階でどれだけ情報の層を厚くできるかが、そのまま最終成果物の厚みに直結します。


長い会話は精度を落とす「保存して再スタート」

ここで注意点があります。AIとの対話が長くなるほど、文脈が膨らみ、回答の精度はじわじわ落ちていきます。これはどのモデルにも共通する傾向で、スタンフォード大学の研究「Lost in the Middle」でも、長い文脈の中盤にある情報が参照されにくくなる現象が指摘されています。

準備工程が終わったら、成果物を一度ファイルに保存してください。歴史メモ、口コミ要約、SNS分析、競合調査。これらを整理したドキュメントを作り、新しいチャットに読み込ませて再スタートします。

料理で言えば、下ごしらえを済ませた食材を、ようやく一つの鍋で調理するイメージです。

このタイミングで初めて「構成案を考えて」「キャッチコピーを3案出して」と依頼すると、プロ級の回答が連続で返ってきます。同じAI、同じモデルでも、準備があるかないかで出力の質がまったく違います。


準備工程を「自分の型」に育てる

この一連の流れは、案件ごとにゼロから考える必要はありません。一度うまくいった工程は、テンプレートとして残しておけば、次回以降の制作時間を大幅に短縮できます。

・業種別の「調査項目リスト」を作っておく
・下ごしらえ成果物のフォーマット(章立て)を統一しておく
・うまく機能した指示文はストックして再利用する

広告業界のブリーフが定型化されているのと同じ発想です。型があるからこそ、毎回「何を調べるべきか」で迷わずに済み、準備の質が安定します。

AIは「即答させる相手」ではなく「準備させる部下」として扱う。この発想の切り替えが、制作物の質を底上げする最大のレバーです。


FAQ

Q1. 準備工程だけで何時間くらいかかりますか?

A. 慣れるまでは1案件90分前後が目安です。ただし、この工程で構成案の迷いが消えるため、全体の制作時間はむしろ短くなる傾向があります。

Q2. ChatGPT、Claude、Geminiで使い分けは必要ですか?

A. 思想は共通で、どのモデルでも使えます。ただし長い対話で精度が落ちる性質はどれにも共通するため、準備が終わったら新しいチャットに切り替えることをおすすめします。

Q3. 保存ファイルはどんな形式がよいですか?

A. マークダウン形式のテキストファイルが扱いやすいです。章立てを明示しておくと、新しいセッションに読み込んだときに参照されやすくなります。

Q4. 小さな案件でもここまでやる価値はありますか?

A. 案件サイズより、繰り返し制作する領域かどうかで判断します。テンプレ化できれば2本目以降のコストは大幅に下がります。

Q5. この方法は企画書以外にも使えますか?

A. 使えます。LP、提案書、営業資料、コラム記事、動画シナリオなど、情報を構造化して発信するすべての制作物に応用できます。


まとめ

生成AIで企画書・LP制作の品質を上げる鍵は、答えを急がせないことです。以下の3点を実践してください。

・構成案を頼む前に、歴史・口コミ・SNSなど一次情報を徹底的に調べさせる
・下ごしらえした材料を保存し、新しいセッションで調理に進む
・うまくいった工程はテンプレ化して、次回以降の型として再利用する

AIは優等生なので、放っておけば70点の答えを返してきます。準備の鬼軍曹になることが、どんな制作物もプロ級に押し上げる近道です。

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