「Cloudflare」という名前を、この1年で何度か見かけた気がするけれど、それが何をしている会社なのかは説明できない。そう感じている方は多いはずです。
実はこの会社が、日本のWebサイト運営者にとって無視できない締切を設定しています。2026年9月15日です。この日を境に、AIがあなたのサイトをどう扱うかの初期設定が切り替わります。
この記事では、Cloudflareとは何者なのかを整理したうえで、9月15日に何が起きるのか、そして自分のサイトが対象かどうかをどう確かめればいいのかまでをお伝えします。
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Cloudflareとは何者か
そもそも、ウェブサイトはどこにあるのか
まず前提から整理します。
あなたが自社のサイトを開くとき、そこに表示される文章や写真は、どこかに置いてある1台のコンピュータから届いています。このコンピュータをサーバーと呼びます。サイトの中身が入っている箱だと考えてください。
もし何も対策をしなければ、日本中、世界中の人がその1台に直接取りに行くことになります。見に来る人が増えれば遅くなりますし、攻撃目的のアクセスが来ても、そのサーバー自身が耐えるしかありません。

Cloudflareはサーバーの手前に立ちます
Cloudflareは2009年に設立されたアメリカの企業です。日本語では「クラウドフレア」と読みます。
この会社がやっているのは、そのサーバーの手前に立って、やって来たアクセスをいったん受け止めることです。ビルの1階にいる受付兼警備員を想像してください。ビルに用がある人は、全員そこを通ります。
仕事は大きく3つあります。
ひとつ目は、表示を速くすることです。世界中の主要都市にサイトのコピーを置いておき、日本から見るときは遠くの本体まで行かずに、近くのコピーを返します。本店と支店の関係に近いです。
ふたつ目は、守ることです。攻撃目的のアクセスや不審なプログラムを、本体に届く前に止めます。
みっつ目は、さばくことです。アクセスが集中しても本体が倒れないように、受付の側で交通整理をします。

名前を見ないのに、多くの人が使っています
同社の説明によれば、Webドメインの2割以上がCloudflareを経由しています。およそ5つに1つ以上という規模です。
それでも名前を見ないのは、うまく動いているときは完全に裏方だからです。画面のどこにも「Cloudflareを経由しました」とは表示されません。
日本にも拠点があります。同社は2020年に東京にオフィスを開設し、日本法人であるクラウドフレアジャパン株式会社が国内向けの発表を行っています。
なぜ今、SNSで名前を見るのか
名前が一気に知れ渡った日がありました
多くの人がこの名前を覚えたのは、2025年11月18日でした。
この日、Cloudflareで障害が発生し、X(旧Twitter)やChatGPT、Claudeなど、多くのサービスが同時に使えなくなりました。同社のセキュリティの仕組みが正常に動かなくなったことが原因です。
このとき日本のSNSでは「クラウドフレアって何者」という声があふれました。裏方が止まって初めて、その存在の大きさが見えたわけです。
今度はAIの入り口を握る側として話題になっています
そして2026年、同社はまったく別の理由で名前が出ています。AIがWebサイトのコンテンツをどう読むか、その入り口を握る側に回ったからです。
同社が2026年8月に公表した四半期決算では、自社ネットワークを流れるトラフィックのうち人間以外によるものが初めて半分を超えたと説明されています。ボットやAIエージェントによるアクセスが、人間のアクセスを上回ったということです。
Webはもう、人間だけが読む場所ではなくなりました。
9月15日に何が変わるのか
AIのアクセスが3つに分けられました
Cloudflareは2026年7月1日、AIによるアクセスを3種類に分けて、それぞれ許可するか断るかを選べる仕組みを発表しました。
・Search(検索):あとで質問に答えるために、コンテンツを集めて索引をつくる動きです
・Agent(エージェント):人の代わりに、いまこの場で用事を片づけるためのアクセスです
・Training(学習):AIモデルを学習させたり微調整したりするためにコンテンツを取り込む動きです

これまでは「AIボットを一括で拒否するか、しないか」という選び方しかありませんでした。それが用途別に分かれたということです。
新しい初期設定は「学習と代行は断る」です
そして2026年9月15日から、初期設定が変わります。
同社の公式ブログによれば、新しくCloudflareに登録するドメインでは、広告を表示しているページについてTrainingとAgentを初期状態でブロックし、Searchは許可したままにする設定になります。
日本法人の発表では、無料プランの利用者についても、9月15日までにダッシュボードの設定を変更しなかった場合には同様の変更が適用される、と説明されています。

既存のサイトについては、9月15日より前であれば、セキュリティ設定からこの初期設定を選び直せるとされています。
守ろうとすると、Google検索から消えるかもしれません
ここが、この件でいちばん大事なところです。
「AIに勝手に学習されるのは嫌だから、Trainingは断ろう」と考える方は多いはずです。ところが、それをそのまま実行すると、思わぬところに跳ね返ります。
Cloudflareの公式ブログは、Trainingをブロックした場合、Googlebot、Applebot、Bingbotといった複数の用途を兼ねるクローラーもブロックされる、と明記しています。
理由は単純です。Googleのクローラーは、検索の索引づくりとAI向けの取り込みを同じ1回の巡回で兼ねています。用途がまたがっているため、いちばん厳しい設定に合わせて止まってしまうのです。

止まるとどうなるか。Googleがあなたのページを取りに来られなくなり、更新が反映されなくなります。それが続けば、検索結果からページが落ちていきます。
AIに使われたくないから守った結果、Google検索からも消える。この矛盾が、9月15日の本当の論点です。
自分のサイトが対象か、3ステップで確かめます
難しい作業ではありません。順番に見ていきます。
ステップ1として、そもそもCloudflareを使っているかを確かめます。サイト制作を外注している場合は、契約書やサーバーの管理画面を探すより、制作会社に「うちのサイトはCloudflareを経由していますか」と一行で聞くのがいちばん早いです。
ステップ2として、使っている場合はCloudflareの管理画面でセキュリティ設定を開きます。AIのアクセス制御にあたる項目で、Search、Agent、Trainingの3つがそれぞれどうなっているかを見ます。
ステップ3として、Trainingをブロックにする場合は、Google検索への影響とセットで判断します。検索からの流入が事業の柱になっているなら、Trainingを一律で止める判断は慎重にすべきです。

管理画面に自分でアクセスできない場合は、この3点をそのまま制作会社に依頼すれば伝わります。
個人事業や現場の事業者は、どう考えればいいか
記事や写真そのものを売って収益を上げているメディアと、個人でお店や事業を営んでいる方とでは、答えが変わります。
コンテンツ自体が商品なら、学習に使われることを断る意味があります。守るべき資産がコンテンツそのものだからです。
一方、サイトが見つけてもらうための入口として機能しているなら、話は逆になります。問い合わせや来店につながる経路を、自分の手で細くすることになりかねません。

判断の軸はシンプルです。あなたのサイトは、読まれること自体が価値なのか、それとも読まれて連絡が来ることが価値なのか。後者であれば、まずは初期設定を確認して、意図せず閉じてしまっていないかだけを見ておけば十分です。
よくある質問
Q1. Cloudflareを使っていなければ、9月15日は関係ありませんか。
はい、この初期設定の変更はCloudflareを経由しているサイトの話です。ただし自分が使っているかどうかを把握していないケースが多いので、確認だけはしておくことをおすすめします。
Q2. 無料プランでもこの設定はできますか。
できます。Cloudflareは3分類の管理を、無料プランを含むすべての利用者に提供すると説明しています。
Q3. 9月15日を過ぎたら、もう設定は変えられませんか。
変えられます。9月15日は初期設定が切り替わる日であって、設定変更ができなくなる日ではありません。ただし気づかないまま日数が過ぎると影響が積み上がるので、早めの確認が安全です。
Q4. Trainingだけを断って、AI検索には出続けることはできますか。
用途別に分かれた仕組みなので、Searchを許可したままTrainingを断つ設定自体は可能です。ただしGooglebotのように用途をまたぐクローラーがあるため、思った通りに分かれるとは限りません。設定後に検索の巡回状況を確認してください。
Q5. 制作会社には何と伝えればいいですか。
次の3点を確認してほしい、と伝えれば通じます。
1. 当社サイトはCloudflareを経由していますか
2. AIのアクセス制御で Search / Agent / Training はそれぞれどう設定されていますか
3. Training をブロックした場合、Googlebot の巡回に影響は出ませんかまとめ
・Cloudflareは、Webサイトの受付窓口を担う会社です。名前は表に出ませんが、Webドメインの2割以上が経由しています
・2026年9月15日から、AIのアクセスに関する初期設定が変わります。学習と代行は断り、検索は通す、という方向です
・注意点は、学習を断つとGoogleの巡回まで止まる可能性があることです。守るつもりが検索から消える事態を避けるため、9月15日までに設定を確認してください
まずは制作会社に一行、「うちのサイトはCloudflareを経由していますか」と聞くところから始めてください。
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