日曜の夜、来週の商談用にとAIへ「うちの強みをまとめた提案書を作って」と頼む。3分でそれらしい文章は出てくる。ところが読み返すと、どこの会社にでも当てはまる当たり障りのない内容で、これでは他社と差がつきません。
こういうとき、つい「もっと高いプランや最新モデルに変えれば解決するのでは」と考えがちです。でも、その前に見直したいのは頼み方の順番です。この記事では、今使っているAIのまま成果物の質を引き上げる、5つの役割と3周の頼み方を紹介します。
▼記事を3分で理解できる!マンガ風スライドはこちら
なぜAIの答えは「それっぽい」で止まるのか
多くの人はAIを、普通のチャット相手として使っています。「〜を作って」と一度お願いして、出てきたものをそのまま受け取る。これだと、AIは一番無難な答えを最初に返すので、当たり障りのない内容で止まります。
腕のいいAIほど、本当は違う使い方で力を発揮します。長めに考え、作業を分け、途中で自分の答えを疑い、別案を出し、最後にまとめ直す。この往復の粘りが質を決めます。たとえばClaudeの無料版・Proの標準モデルであるSonnet 5も、一度きりの質問より、工程を踏ませたほうが結果が変わります。

つまり、変えるべきはモデルより先に、頼み方の順番だということです。
AIに「5人の担当者」を割り当てて3周させる
頼み方の順番を、社内に5人の担当者がいると見立てて組み立てます。
5つの役割
・戦略家:誰に何を届けるか、勝ち筋を考える担当
・設計者:完成までの段取りと、必要な材料を整理する担当
・生成者:実際に成果物をつくる担当
・破壊者:できたものを褒めず、弱点を叩く担当
・仕上げ屋:公開・提出できる状態まで整える担当

3周のしくみ
この5人を、一度で終わらせず3周まわします。1周目で方向性をつくり、2周目で弱点を壊し、3周目で完成形にします。頼むときは「5つの役割を順番に実行し、全体を3周してください」と一文添えるだけで、AIが考えるモードに入ります。

ここからは、この中でも効果が大きい3つのコツを紹介します。
コツ1 作らせる前に「勝ちの条件」を決めさせる
一番やりがちな失敗が、いきなり本文や資料を作らせることです。最初に決めるべきは成果物ではなく、勝ちの条件です。
たとえば提案書なら、本文を書く前にこう頼みます。
まだ提案書の本文は書かないでください。
先に、この提案が「うまくいった」と言える条件を整理してください。
・読み手が興味を持つ理由
・読み手が手元に残しておきたくなる理由
・読み手が反論しそうな点と、それへの返し
・絶対に言ってはいけない主張
・100点満点の採点基準
テーマ:(あなたの案件)
読み手:(相手の立場)勝ちの条件を先に言葉にしておくと、そのあとの成果物が驚くほど芯を持ちます。特に「絶対に言ってはいけない主張」まで出させるのがコツです。
コツ2 いきなり1案で決めず、3案出させてから選ぶ
AIの出力が弱い人は、たいてい1案目をそのまま使っています。1案目は無難な分だけ弱いことが多いのです。そこで、方向性を3つ出させてから選びます。
同じテーマで、方向性を3案出してください。
A案:一番わかりやすい案
B案:一番思い切った案
C案:一番手元に残したくなる案
それぞれの見出し、書き出し、強み、弱みを並べ、
最後に一番伸びそうな案を1つ選んで理由を教えてください。
無難な平均案に逃げないでください。選択肢をつくってから選ぶ。これだけで、最初の無難な案に引きずられなくなります。
コツ3 いちばん効くのは「褒めるな、壊せ」
ここが本題です。AIは基本的に親切なので、そのまま感想を求めると褒めてしまいます。褒められても成果物は強くなりません。必要なのは、レビューではなく容赦ない指摘です。
あなたはいまから、この成果物を叩く担当です。
褒めるのは禁止、良いところ探しも不要です。
・致命的な弱点はどこか
・どこが借り物めいて聞こえるか
・読み手が離れるのはどの一文か
・削るべき箇所と、足すべき箇所
・書き直し案
・100点満点での再採点「レビューして」では弱く、AIは優しく返します。作る、疑う、壊す、直す。この往復こそが、成果物を「それっぽい」から抜け出させます。
頼む順番をひとまとめにした型
最後に、ここまでを一つの頼み方にまとめます。仕事の内容を差し替えて使えます。
あなたは普通のチャット相手ではなく、5人の担当者からなる制作チームです。
目的は、早く答えることではなく、そのまま使える成果物をつくることです。
1 戦略家:誰に何を届けるか勝ち筋を出す
2 設計者:段取りと必要な材料を整理する
3 生成者:成果物をつくる(必ず3案出して比べる)
4 破壊者:褒めずに弱点を叩く
5 仕上げ屋:提出できる状態に整える
これを3周してください。1周目で方向性、2周目で弱点つぶし、3周目で完成。
まず成果物より先に「勝ちの条件」と「採点基準」から始めてください。
テーマ:( )
目的:( )
読み手:( )よくある質問
Q1 高いモデルや最新モデルに変えなくて大丈夫ですか
まずは今使っているAIで、この頼み方を試してみてください。多くの仕事は、頼む順番を変えるだけで質が上がります。モデルの乗り換えを考えるのは、そのあとでも遅くありません。
Q2 3周も回すのは手間で、時間がかかりませんか
慣れれば、最初に型を貼り付けるだけです。手直しに追われる時間のほうが、結果的に長くなりがちです。まずは提案書やチラシなど、大事な1本で試すのがおすすめです。
Q3 どんな仕事に使えますか
提案書、チラシ文、お客様への案内、SNS投稿、あいさつ文など、文章仕事なら幅広く使えます。役割の名前を仕事に合わせて言い換えれば、応用がききます。
Q4 「褒めるな、壊せ」と頼むと、厳しすぎる結果になりませんか
厳しく感じても、それは直すべき点が見えたということです。すべてを受け入れる必要はなく、納得できる指摘だけ取り入れれば十分です。判断するのは自分だと考えてください。
まとめ
今回の要点は3つです。
・最新モデルに乗り換える前に、頼む順番を見直す
・作らせる前に勝ちの条件を決め、3案出させてから選ぶ
・いちばん効くのは、褒めさせず壊させること
まずは大事な1本で、この順番を試してみてください。今あるAIのまま、成果物は変わります。
▼3分で理解できる!マンガ風スライドはこちら
AI活用について、社内でどう進めるべきか迷っていませんか? AI-Brainでは、中小企業向けに30分の無料相談を実施しています。 まずはお気軽にご相談ください。
AI活用を一緒に考える(無料30分)
人気の記事
記事を読む
イベント情報
2026/07/08
「Local AI 北陸」第4回 開催決定|商品・サービスの魅力をAIで見える化する(7/24 金沢・定員30名)
筆者/喜多 辰徳
#Local AI 北陸
記事を読む
TOPICS
2026/07/01
広報の仕事を10個に分けてみると、半分はAIに任せられる
筆者/喜多 辰徳
#業務の棚卸し
記事を読む
TOPICS
2026/06/20
会社のURLを貼るだけ。AIに自社の活用法を提案させるプロンプト
筆者/喜多 辰徳
#ChatGPT
#プロンプト
#業務の棚卸し
#活用例
記事を読む
TOPICS
2026/06/30
2028年版・各世代がAIに相談すること100選と業種別対策
筆者/喜多 辰徳
#未来予測
#AI検索
キーワードから探す
#ホームページ制作
#音声モード
#社内研修
#Antigravity
#未来予測
#note
#AI検索
#SNS
#自己分析
#業務の棚卸し
#Obsidian
#Codex
#Google Workspace
#Images 2
#Skills
#AIエージェント
#Grok
#補助金
#AI-Brain
#Notta
#文字起こしツール
#画像生成
#ClaudeCode
#アプリ
#Gem
#Claude
#自治体事例
#Gemini
#Nanobanana Pro
#Local AI 北陸
#子ども
#インタビュー
#企業事例
#プロジェクト
#スライド
#Nano Banana Pro
#GPTs
#NotebookLM
#イベント
#セミナー
#ニュース
#活用例
#料金
#プロンプト
#セキュリティ
#設定
#ChatGPT
#アンケート