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2026/06/14

AIに「資料作って」で失敗する人と量産できる人の差

筆者/喜多 辰徳

「資料なんて、AIに任せれば一瞬でしょう」。

そう思って「いい感じのセミナー資料を作って」とお願いしたのに、出てきたものを見て手が止まった経験はないでしょうか。1枚目はそれっぽいのに、10枚通すと色味も余白もバラバラ。説明のスライドは中身が薄い。結局、手直しに半日かかってしまう。これでは何のためのAIか分かりません。

一方で、同じAIを使って資料を次々に量産している人もいます。両者を分けているのは、AIの性能でもプロンプトの上手さでもありません。「頼み方の発想」そのものです。この記事では、その決定的な差を、現役で資料を作り続けている立場からお伝えします。


「資料作って」の丸投げは、なぜ崩れるのか

AIに「資料を作って」と一言で頼むと、AIは構成も文章も見た目も図解も配色も、すべてをその場で自由に判断します。1枚だけなら、この自由さが「いい感じ」を生みます。

問題は枚数が増えたときです。2枚目、3枚目と進むたびにAIは毎回ゼロから判断し直すので、配色も余白も図解の型も少しずつズレていきます。10枚を超えるころには、1枚ずつは綺麗なのに通すと統一感のない資料ができあがります。

これはAIが悪いのではありません。「全部おまかせ」という頼み方が、ブレる余地を最大にしているのです。


量産できる人は「工程」を先に決めている

資料を量産できる人がやっているのは、AIに作らせる前に「作る手順」を決めておくことです。ひとまとまりに見える「資料づくり」を、こう分けて考えます。

・原稿を整理する(何を伝えるか)

・1枚ごとの役割を決める(表紙、比較、まとめなど)

・役割に合った見た目の型を割り当てる

・お手本を渡してトーンを揃える

・作ったあとに崩れがないか確認する

ポイントは、AIに「全部やって」と渡さないことです。工程を分けておくと、AIに任せるのは各工程の中だけになります。判断する範囲が狭くなるほど、出力は安定します。私自身、記事や資料を作るときに毎回使っている考え方で、いちばん効くのが「AIの自由度を、あえて下げる」という一手です。


今日からできる「分ける」3つの問い

いきなり完璧な手順表は要りません。次の3つを自分に問うだけで、丸投げから一歩抜けられます。

・この1枚で、何を分かってほしいか(1枚に1つのメッセージへ絞る)

・この資料の山場はどこか(そこだけ図解にする)

・お手本になる過去の資料はどれか(それをAIに見せる)

特に3つ目が強力です。言葉で「いい感じに」と伝えるより、過去に作った気に入っている資料を1枚見せて「このトーンで」と言うほうが、AIははるかに正確に揃えてくれます。


仕組みは「70点で走らせて、直す」

工程を分けると聞くと、立派なマニュアルを用意しなければと身構えるかもしれません。そこは逆です。最初は、よく使うスライドの型を5つだけ決める。作ったあとのNG確認リストを1枚作る。それだけで十分動き出します。

完璧な仕組みを作ろうとして手が止まるのが、いちばんもったいないパターンです。70点で実際に使い、崩れたところだけ直す。この繰り返しが、結果的にいちばん速く「量産できる自分」に近づけてくれます。


FAQ

Q1.プロンプトを工夫すれば、丸投げでもうまくいきませんか

A.1枚なら工夫が効きます。ただ枚数が増えるほど、毎回の判断のブレが積み重なります。プロンプトを磨くより、工程を分けて判断範囲を絞るほうが、通した品質は安定します。

Q2.結局どのAIツールを使えばいいですか

A.最初に決めるのはツールではなく工程です。原稿を整理し、役割を決め、お手本を渡す。この流れができていれば、使うツールが変わっても品質を保てます。

Q3.デザインの知識がなくても作れますか

A.作れます。むしろ毎回新しいデザインを考えないことがコツです。役割ごとに決まった型を割り当てる発想にすれば、センスではなく手順で品質が決まります。

Q4.画像で生成すると、頼んでいない文字が入ることがあります

A.画像として生成するAIは、指示にない飾り文字やラベルを足すことがあります。だからこそ、作ったあとに「指定した文字以外が入っていないか」を確認する工程を必ず入れてください。


まとめ

AIで資料を量産できるかどうかを分けるのは、AIの性能ではなく頼み方の発想です。今日のポイントは3つです。

・「資料作って」の丸投げは、枚数が増えるほど崩れていく

・量産できる人は、作る前に工程を分けてAIの判断範囲を絞っている

・仕組みは70点で走らせて、崩れたところだけ直していく

まずは次に作る資料で、「この1枚で何を伝えるか」を決めてからAIに渡してみてください。それが、丸投げから抜け出す最初の一歩です。

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