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2026/07/10

経理・事務の仕事を10個に分けてみると、半分はAIに任せられる

筆者/喜多 辰徳

夜、店を閉めたあとにレシートの山と通帳を前にして、「本業よりも、そのあとの事務に時間を取られている」とため息をついていませんか。

売上はあがっているのに、数字の入力や書類づくりに追われて、気づけば夜中になっている。そして多くの人が「自分は数字が苦手だから」と落ち込みます。でも、事務に追われる原因は、数字の得意・不得意ではないことがほとんどです。足りないのは才能ではなく、経理・事務を「分解して任せる仕組み」です。

この記事では、経理と事務の仕事を工程に分け、どこをAIに渡せるかを順番に整理していきます。読み終えるころには、明日から何に手をつければいいかが見えるはずです。

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まず「分解」から始める理由

AIを使おうとして失敗する人の多くは、「経理をまるごとAIにやらせよう」として挫折します。経理・事務は、記録する・計算する・書く・調べる・判断する、といった性質の違う作業の集まりだからです。

だから最初にやるのは、ツール選びではありません。自分の事務仕事を作業単位に分けることです。これは「業務の棚卸し」と呼ばれ、AI導入の出発点として広く勧められています。作業に分けると、AIが得意な場所と、人や会計ソフトがやるべき場所がはっきり分かれます。


経理・事務を10個に分けてみる

たとえば、個人事業の経理・事務はこんな工程に分けられます。

・日々の売上と経費を記録する

・請求書や見積書を作る

・レシートや領収書を仕分ける

・入金と支払いの予定を確認する

・経費を科目ごとに分ける

・月ごとの数字をまとめる

・確定申告や決算の資料を準備する

・取引先へのお金の連絡メールを書く

・立て替えや交通費の精算をする

・資金繰りの見通しを整理する

紙に書き出すだけで構いません。ぼんやり「事務が大変」と思っていたものが、具体的な作業の束に変わります。


半分はAIに渡せる

分けてみると、半分ほどが「調べる・書く・整える」作業だと気づきます。ここがAIの得意分野です。実際、生成AIの使われ方として最も多いのは文章の作成・要約・校正で、情報収集がそれに続きます(帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査」2026年3月)。事務仕事の中でも、請求書や見積書の下書き、取引先へのお金の連絡文、月次のまとめ、申告資料に添える説明などは、AIに最初の形を作ってもらえます。あなたは、その下書きを直して仕上げるだけです。

事務作業が集まるバックオフィスは、じつはAIの導入がいちばん進んでいる分野でもあります(中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」2026年3月公表)。つまり事務は、「AIと相性が悪い」どころか、むしろ最初に効果が出やすい場所です。

一方で、数字そのものの正確さ、勘定科目の最終的な確定、申告や納税の判断、そしてお金を動かす決断は、人が握るべき仕事として残ります。金額の計算や記帳の正確さは会計ソフトに任せ、文章化や下調べはAIに任せる。「作業は引き受けさせ、数字とお金の判断は人が握る」。これが分解の基本の形です。なお「半分」はあくまで目安で、事業の形によって渡せる割合は変わります。


外にまるごと頼む前に、小さく試す

ここで事務をまるごと外に頼もうとすると、費用も引き継ぎの手間もかかります。その前に、分解した工程のうち一つだけをAIに任せてみてください。進め方は小さく、が鉄則です。まずは一つの作業を1〜2週間ためし、続けられそうなら1か月ほど検証し、うまくいったら隣の作業へ広げます。最初から全部を自動化しようとしないことが、長続きのコツです。

なお、地方の個人事業でこうしたAIの使い方が現実的な選択肢として広がってきたのは、ここ数か月の動きです。難しい設定はいりません。必要なのは、自分の事務仕事を一度書き出してみる、その一歩だけです。


よくある質問

Q. お金の計算をAIに任せて、間違いませんか。

A. 金額の計算や記帳は会計ソフトに任せ、AIには文章づくりや下調べを任せるのがおすすめです。数字の正確さが必要な部分と、文章の下書きで済む部分を分けて考えると安全です。

Q. 何から始めればいいですか。

A. いちばん手が止まりやすい「書く作業」からをおすすめします。請求の連絡メールや、月次のまとめの下書きは効果を実感しやすい工程です。

Q. お金や取引先の情報をAIに入れても大丈夫ですか。

A. 口座番号や取引先の非公開情報は、扱い方を必ず確認してから使ってください。学習に使わない設定にできるサービスもあります。

Q. 数字が苦手でもできますか。

A. できます。必要なのは計算の速さより、自分の事務を工程に分けて考える力のほうです。分けてしまえば、あとはAIに下書きを任せられます。


まとめ

事務に追われる原因は、数字の苦手さではなく仕組みの不在であることが多いです。今日のポイントは三つです。

・経理・事務はまず工程に分解する

・書く・調べる・整える作業はAIに渡し、数字とお金の判断は人が握る

・外にまるごと頼む前に、一つの工程から小さく試す

まずは紙に、自分の経理・事務の工程を書き出すことから始めてみてください。

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