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2026/01/02

こっそりChatGPTは危険?シャドーAIの定義と、社員が守るべき4つのチェックポイント

筆者/喜多 辰徳

最近よく聞く「シャドーAI」とは?

ChatGPT などの生成AIを、業務のちょっとした作業に使う人が増えています。「便利だから」「少しだけなら大丈夫だろう」と、上司や情シス・法務に相談せずに使っている場合、それはシャドーAIと呼ばれる状態かもしれません。シャドーAIは、単なる“こっそり利用”ではなく、組織全体にとって無視できないリスクを抱えています。

シャドーAIの定義と、「どこからがNGか」

ここでは、現場で迷わないように、シャドーAIを次のように定義します。

情シス・セキュリティ・法務が承認したルールの外側で、AI機能を業務に使うこと。

ポイントは「ツール」だけでなく「機能」も含めることです。

  • 承認されていない生成AIサービスを、業務に使う

  • 承認済みのSaaSに、あとから追加されたAI機能を、ルール整備前に勝手に使う

  • 個人アカウントや私物スマホのAIアプリを、仕事の資料作成に使う

ツール自体が社内承認されていても、「AI機能の使い方」がルールの外ならシャドーAIに当たります。


絶対に入力してはいけない情報・悩みやすい情報

「何を入れてはいけないのか」が曖昧だと、現場は判断に迷います。最低限のイメージとして、次のようなマトリクスを前提にすると整理しやすくなります。

※最終的には自社の情報セキュリティポリシーが優先です。以下はたたき台イメージです。

情報の種類

外部AI(一般消費者向け)

エンタープライズAI(契約済み)

社内ホスティングAI

個人情報(氏名・住所など)

無条件でNG

原則NG(匿名加工や明示許可のみ)

社内規程で明示的に許可された範囲のみ

機密情報・未発表情報

無条件でNG

要承認(プロジェクト単位で判断)

要承認

公開済み情報

原則OK(社外公開前提の内容に限る)

OK

OK

ドラフト・アイデア

実在の個人や取引先が特定されない範囲で条件付きOK

OK

OK

ここでのポイントは、

  • 個人情報・機密情報は、外部AIには「無条件でNG」

  • エンタープライズAIや社内AIでも、「契約・社内規程で明確に許可されている範囲だけOK」

という2点です。


なぜシャドーAIが危ないのか(メカニズムで理解する)

リスクを「なんとなく怖い」ではなく、仕組みで理解しておきましょう。

1. 入力内容が学習やログに使われる可能性

多くの一般向けAIサービスは、デフォルトでは次のような仕様になっていることがあります。

  • 入力した内容が、モデル改善(再学習)のためのデータとして使われる

  • 入力内容や出力結果が、一定期間ベンダー側のログとして保存される

もちろん「他のユーザーから丸見えになる」わけではありませんが、ベンダーの権限で参照できる場所に残る以上、情報漏えい時には一気に流出する可能性があります。

2. 一度外に出した情報は「取り消せない」

一度外部AIに入力された情報は、ユーザー側で完全に削除できるとは限りません。万が一、ベンダー側のインシデントや不正アクセスが起きた場合、自社の機密が混ざっていると、被害の範囲をコントロールできなくなります。

このようなメカニズムがあるからこそ、「個人情報・機密情報は外部AIに入れない」が原則になります。


「全部禁止」はいつ危険になるか/何を禁止すべきか

リスクを見ると、「生成AIは全部禁止」と言いたくなるかもしれません。ただし、次のような状態での一律禁止は、逆効果になりがちです。

  • 公式に使ってよいAIツール・環境が用意されていない

  • どんな場面なら使ってよいのかが示されていない

この状況で「禁止」とだけ伝えると、表に出ていた利用が地下化し、シャドーAIが増えやすくなります。

そこで重要なのは、「何を禁止し」「どこなら積極的に使ってよいか」を分けて示すことです。

絶対に禁止すべきデータ・用途の例

  • 氏名・住所・メールアドレスなどの個人情報

  • 未発表の価格・新製品情報・M&A・人事情報など、重要なインサイダー情報

  • 契約交渉中の文案や、取引先との機微なメール本文そのもの

  • 顧客名や具体的な案件名がわかる状態での、外部AIへの入力

むしろAI活用を推奨しやすい領域の例

  • 社外公開を前提としたブログ記事やメルマガの「たたき台」の作成

  • 社内勉強会資料の構成案づくり

  • 汎用的なマニュアル文・テンプレート文言の草案

  • アイデア出し、ブレインストーミング用の補助

このように線引きすることで、現場は「どこまでなら使ってよいか」を具体的にイメージできるようになります。


企業が取るべき最低限の対策

シャドーAIを減らしつつ、生産性向上も実現するために、組織としてまず取り組みたいのは次の3点です。

 [AI利用ポリシー・ガイドラインの整備]

  • 入力してよい情報・NG情報の定義

  • 利用を認めるツール/禁止するツールの一覧をシンプルなドキュメントにまとめ、社内ポータルなどで常に参照できるようにします。

  • [公式に使ってよいAI環境を用意する]
    エンタープライズ版のChatGPT や、プロキシ型の社内向けAIなど、契約や技術設定でログ・学習範囲をコントロールできる環境を用意し、「ここなら業務で使ってよい」と明示します。

  • [継続的な教育・啓発]
    一度の研修で終わらせず、

  • 典型的なNG例

  • 社内・業界のインシデント事例をアップデートしながら、短時間の勉強会やeラーニングで繰り返し伝えます。


従業員向け「30秒チェックリスト」

現場の一人ひとりは、AIを使う前に、次の4つを自問するだけでリスクを大きく下げられます。

  1. この情報は「個人情報・機密情報・未公開情報」に当たらないか?

  2. このツールは、会社として業務利用が許可されているか?

  3. 利用規約や説明で「商用利用可」「学習への利用有無」を一度は確認したか?

  4. 出力結果をそのままコピペせず、自分の責任で内容を検証するつもりか?

どれか一つでも「No」なら、その使い方は止めて、上長や情シス・法務に相談するのが安全です。


まとめ:シャドーAIを「見える化」して付き合う

シャドーAIは、多くの場合、サボりではなく「もっと効率よく仕事をしたい」という前向きな気持ちから生まれます。だからこそ、組織としては、ルールと環境を整え、「安全に使えるレール」を示すことが重要です。

  • 何がシャドーAIに当たるのか

  • どの情報は絶対に外部AIに入れてはいけないのか

  • どこならむしろAI活用を推奨するのか

この3点を明確にし、現場と対話しながら運用していくことで、リスクを抑えつつAIのメリットを享受できます。

社内でこの記事を展開する際には、あわせて匿名アンケートで

  • すでにAIを使っているか

  • どのツールをどう使っているか

  • どんな点に不安を感じているか

を聞いておくと、自社の実態に即したポリシーづくりや研修設計に役立ちます。

<Information>
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