ウイルスや不正アクセスのニュースを見るたびに、「うちも何かしたほうがいいのか」と気になりながら、何を見ればいいか分からないまま過ぎていませんか。
国のサイバー対策の司令塔である国家サイバー統括室は、Xで「注意・警戒情報」専用のアカウントを運用しています。フォローするだけで、国が注意を呼びかけている情報が手元に届きます。
ただし、流れてくる投稿の大半はソフトの更新のお知らせです。全部を読もうとすると続きません。この記事では、このアカウントの投稿の種類と、地域の会社や個人店が「どの投稿だけ見ればいいか」「見たあと誰に何を聞くか」を、2026年10月のPHPの件を例に整理します。
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国家サイバー統括室のXアカウントはどんなアカウントか
国家サイバー統括室(英語名の略称はNCO)は、2025年7月1日に内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を改組して、内閣官房に置かれた組織です。政府のサイバー対策の司令塔の役割を持っています。
Xのアカウントは @cyber_forecast です。プロフィールには「サイバーセキュリティ関連の注意・警戒情報を発信しています」と書かれていて、2026年10月31日時点のフォロワーは約43万人です。
同じ統括室には、広報と普及啓発を担当する別のアカウント(@cas_cyberpr)もあります。こちらは国の取り組みや啓発の情報が中心です。会社の守りに直接つながるのは、注意・警戒情報の @cyber_forecast のほうです。

流れてくる投稿は3種類に分かれる
2026年7月末から10月末までの約3か月分の投稿173件を、筆者が種類ごとに数えました。
【更新情報】ソフトの更新のお知らせ(146件)
Chrome・Edge・Firefoxなどのブラウザ、Apple製品、Androidなどの更新プログラムが公開されたことを知らせる投稿です。「セキュリティ修正が含まれています。忘れずにアップデートしてください」という形が続きます。
【注意喚起】専門機関の注意喚起の紹介(14件)
JPCERT/CC、IPA(情報処理推進機構)、フィッシング対策協議会、日本サイバー犯罪対策センター(JC3)などが出した注意喚起を紹介する投稿です。不正アクセス事案、偽アプリによる送金被害、国税庁をかたるフィッシングメールなどがありました。
見出しのない投稿:統括室自身からの呼びかけ
【】の見出しが付いていない投稿は、統括室が自分の言葉で呼びかけているものが中心です。個人情報を扱う事業者への新しい注意喚起や、相談窓口をまとめた「サイバー対応特設サイト」の開設(10月30日)などがありました。
2026年10月のPHPの件で見えた使いどころ
このアカウントの使い方がよく分かるのが、10月のPHPの件です。PHPは、多くのホームページの裏側で動いている仕組みです。ホームページ作成によく使われるWordPressも、PHPで動いています。
10月21日、統括室はPHPに重大な脆弱性(ソフトの弱点)があるとして、同日午後11時に公開される修正をすぐに当てるよう呼びかけました。さらに、すぐに修正を当てるのが難しい場合は、ホームページを一時的に止めることもリスクを下げる手の一つだと投稿しています。
その後も、IPAやJPCERT/CCの注意喚起の紹介、ファイアウォール製品で侵害の成功を示唆する痕跡が報告されたという更新、海外機関がまとめた影響製品の一覧の紹介と、続報が流れました。
ここで考えたいのは、ホームページを持つ会社の多くは、更新作業を自分でしていないという点です。サーバーの管理は制作会社やサーバー会社が持っていることがよくあります。その場合、注意喚起を見た会社がやることは、自分で直すことではありません。管理している相手に「うちは対象ですか」と聞くことです。
会社で使うための3つの決めごと
1.見る投稿を【注意喚起】と見出しなしの投稿に絞る
更新情報まで全部の通知を受け取ると、多い日には1日に何件も届き、そのうち開かなくなります。おすすめは、週に1回プロフィールを開いて、【注意喚起】と見出しのない投稿だけを拾う使い方です。
Xの検索窓に次のように入れると、注意喚起の投稿だけを一覧で見られます。
from:cyber_forecast 注意喚起2.自社が使っているものを1枚に書き出す
注意喚起を見ても、自社が関係するかどうかが分からなければ動けません。ホームページの仕組み(WordPressかどうか)、サーバー会社、社内のパソコンとスマホの種類、使っているクラウドサービスを1枚に書き出しておきます。
以前紹介した情報漏洩の一覧サイトでも、自社名より「使っているサービス名」で探すほうが役に立つと書きました。考え方は同じです。
3.聞く相手と連絡先を決めておく
ホームページなら制作会社、サーバーならサーバー会社、社内のパソコンなら担当者というように、「この件は誰に聞くか」を先に決めておきます。注意喚起が出てから連絡先を探し始めると、その分だけ確認が遅れます。
書いてあることが分からないときはAIに聞く
注意喚起には、CVEで始まる番号や専門用語が並びます。読んでもピンとこないときは、投稿の文章をChatGPTやClaudeに貼って、自社の状況と一緒に聞くと整理しやすくなります。
次の注意喚起を、ITに詳しくない経営者向けにやさしく説明してください。
うちの会社は、WordPressで作ったホームページ(管理は制作会社)、Windowsのパソコン5台、iPhoneを使っています。
1. うちに関係がありそうか
2. 関係がありそうなら、制作会社に何を聞けばいいか
を教えてください。分からない点は「分からない」と書いてください。
(ここに注意喚起の本文を貼る)AIの答えは、聞く相手を決めるための材料として使います。対象かどうかの最終的な確認は、制作会社やサーバー会社、元の注意喚起を出した機関の発表で行ってください。
更新情報の投稿はどう扱えばいいか
更新情報は、パソコンやスマホ、ブラウザの自動更新がオンになっていれば、多くは自動で当たります。一度、社内の端末で自動更新がオンになっているかを確認しておけば、更新情報の投稿は「更新が出た」という合図として見る程度で足ります。
ただし、自動更新がオンでも、ブラウザを再起動するまで更新が終わらないことがあります。長く開きっぱなしのブラウザは、ときどき閉じて開き直す習慣をつけておくと安心です。

よくある質問
Q. Xのアカウントを持っていなくても見られますか?
Xはログインしていないと、投稿の一部しか表示されないことがあります。Xを使っていない場合は、国家サイバー統括室の公式サイト(cyber.go.jp)にある「サイバー対応特設サイト」で、関係機関の相談窓口や注意喚起をまとめて確認する方法もあります。
Q. 通知をオンにしたほうがいいですか?
担当者が1人で、毎日チェックする余裕がない場合は、通知はオフのまま、週1回の確認を決めておくほうが続きやすくなります。全部の通知を受け取ると、更新情報の数が多いため、大事な投稿が埋もれやすくなります。
Q. 注意喚起に自社が使っているものが出てきたら、まず何をすればいいですか?
まず、そのものを管理している相手(制作会社、サーバー会社、社内の担当者)に「この注意喚起の対象になりますか」と聞いてください。そのとき、注意喚起の投稿のリンクを一緒に送ると、相手も確認しやすくなります。
Q. 広報のアカウント(@cas_cyberpr)もフォローしたほうがいいですか?
国の取り組みやセミナーの情報も知りたい場合は役立ちます。会社の守りのために1つだけ選ぶなら、注意・警戒情報の @cyber_forecast を先にフォローしてください。
まとめ
国家サイバー統括室の @cyber_forecast は、国が注意を呼びかけている情報が届くアカウントです。
・見るのは【注意喚起】と見出しのない投稿だけに絞る
・自社が使っているものと、聞く相手を先に書き出しておく
・分からない注意喚起はAIに整理させ、最終確認は管理している相手に聞く
まずはフォローして、自社が使っているものを1枚に書き出すところから始めてみてください。
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