今回のセミナーは「明日の業務が1時間早く終わる」をテーマに、議事録・チラシ・アイディア出しといった日常業務をその場でAIに置き換えてみる、135分の実践型でした。森本納涼祭の過去資料という、参加者にとって身近な素材を使ったデモも交えてレポートします。
開催概要
・日時:2026年5月20日(水)19:00〜(約120分)
・場所:森本商工会会館
・主催:森本商工会
・テーマ:明日の業務が1時間早く終わる 生成AI活用セミナー
・講師:柏野 真吾(株式会社AI-Brain 代表取締役)/喜多 辰徳(株式会社AI-Brain 取締役副社長)/唐仁原 哲大(株式会社AI-Brain 公認パートナー)
・参加人数:21名(森本商工会青年部メンバー)
・使用ツール:ChatGPT、Gemini(Gem機能)、NotebookLM、Notta
「AIは触ってみないと価値がわからない」から始まった135分
冒頭、柏野からAI-Brainの事業紹介がありました。AIを知らない方には楽しさを、使いたい方には業務への落とし込み方を届ける。その方針のもと、今回は柏野・喜多・唐仁原の3名体制で、パートを分担して進行しました。
会場では挙手アンケートでAI活用状況を確認。すでに毎日使っている人から、今回が初めての人まで、習熟度はバラバラでした。だからこそ、抽象論ではなく「明日からすぐ試せる実例」を届けることを最初に宣言してスタートしています。
最初のアイスブレイクは、GeminiのGem機能で作ったMBTI性格診断アプリの体験でした。QRコードで参加者全員がその場でアクセスし、プログラミングの知識がなくてもAIへの指示だけでアプリが作れることを実感してもらう内容です。
ただし、ここで終わらないのがこのセミナーの特徴でした。過去の研修で作った相性表に、16タイプのうち13個しか入っていない誤りがあった失敗事例を、あえて紹介しています。「AIが生成したものは必ず自分で確認する」。便利さと同時に、この姿勢を最初に共有したことが、後半の実践ワークの土台になりました。
なぜAIは平気で嘘をつくのか:仕組みとハルシネーション対策
続いて、生成AIの仕組みを図解で解説しました。生成AIは、ChatGPTやGeminiといった画面(AIツール)、その裏側で動く基盤モデル(LLM)、そして学習データの3層構造でできています。
基盤モデルの能力は急速に伸びており、IQ換算ですでに130以上、ハーバードやMITに合格できる水準に達しているといいます。これだけ賢くなったAIが、なぜ平気で誤った回答(ハルシネーション)を返すのか。
理由は、AIの設計そのものにあります。AIは「答えられない」と評価が下がるように作られているため、本当はわからないことでも、確率的に「それらしい回答」を生成してしまうのです。賢さと正確さは別物だということです。
対策として、4つの具体策が共有されました。
・自分でチェックできる範囲の情報だけを生成させる
・別のAIツールや検索エンジンでファクトチェックする
・プロンプトに「わからないときはわからないと言え」と明示する
・NotebookLMなどで参照先を社内データだけに限定する
なかでも4つ目の「参照先を限定する」を実際に体験したのが、次のデモです。
森本納涼祭の過去資料をAIに読ませてみる(NotebookLMデモ)
Googleの無料ツールNotebookLMに、森本商工会の盆踊り「森本納涼祭」の過去資料を、企画書・議事録・備品リストまで丸ごと読み込ませました。
「去年の反省点は?」「課題は何だったか?」と質問すると、NotebookLMは読み込ませた資料の範囲だけから情報を抽出して回答します。前段で説明したハルシネーション対策の4つ目、参照先の限定が効いている状態です。
返ってきたのは、人員配置・ビールサーバーの能力不足・金銭管理といった具体的な課題と、黒字達成という実績でした。過去の紙資料の山から、知りたいことを一瞬で引き出せる。年に一度のイベントで、毎年担当者が変わるような場面ほど、この威力は大きくなります。
さらに、読み込んだデータをスライド形式に自動変換する機能も実演しました。3〜4分で視覚的な報告資料が完成します。人は情報の8割を視覚から受け取るといわれます。引き継ぎや報告をテキストの羅列ではなくスライドで渡せるだけで、伝わり方は大きく変わります。
3つのワークショップ:議事録・アイディア出し・チラシをその場で
後半は、参加者が実際に手を動かす3つのワークショップです。それぞれ担当講師を分け、当日その場でアウトプットが立ち上がる様子を体験してもらいました。
アイディア出し:批判役も入る「円卓のおじ」(喜多担当)
まず全員でChatGPTのデータコントロール設定(モデル改善学習のOFF)を実施し、企業データや個人情報の入力リスクを確認しました。そのうえで、AI-Brainが公開するカスタムGPT「円卓のおじ」を使い、納涼祭2026年版のアイディアを膨らませる体験をしています。
「円卓のおじ」は、肯定・否定・提案・まとめ役など6つの人格を備えたGPTで、ひとりでは出てこない批判的な視点も含めてアイディアを多角的に展開してくれます。過去データを踏まえると「35名以上の動員が必須」「レジ担当者の飲酒管理が必要」といった、具体的な反省点に紐づいた提案が返ってきました。
議事録作成:Notta+ChatGPTで1時間を15分に(柏野担当)
文字起こしアプリNottaで会議音声をテキスト化し、専用プロンプトを仕込んだChatGPTのプロジェクト機能に流し込むと、会議や商談に応じたカスタム議事録が自動で生成されます。
従来1時間かかっていた議事録づくりが、15〜20分に短縮されます。打ち合わせが終わった頃には議事録ができている、という状態です。「Notta単体でも要約議事録は作れるが、より詳細でカスタマイズしたいならChatGPT連携が有効」という使い分けも共有されました。
画像生成・チラシ作成:3段階で精度を上げる(唐仁原担当)
ChatGPTの最新の画像生成は、日本語の文字認識精度が大幅に向上しています。制作は、世界観やカラーパレットを定義する設計図(美術詳細資料)を作り、キービジュアルを生成し、ポスターを複数案出す、という3段階で進めると精度が高まります。
SNS向けのインスタフィード用に連続画像を生成するデモも実施しました。業者に外注すれば打ち合わせを重ねて1〜2ヶ月かかるところを、AIならブラッシュアップしながら数十分で完成に近づけられます。
3つに共通していたのは、AIに最初から最後まで丸投げするのではなく、自分の業務プロセスのどこにAIを当て込むかを見つける、という考え方でした。
参加者の声
研修後のアンケートでは、満足度で約7割が最高評価をつけ、平均は5点満点中4.3でした。「1時間早く仕事を終わらせられる可能性を感じたか」という設問でも、多くが「強くそう感じた」「まあまあそう感じた」と回答しています。
特に役立った内容として最も多く挙がったのは、ボイスメモからの議事録作成と、企画書・チラシ文面のAI作成でした。実際に「ボイスメモからの議事録はすぐにでも試す」という声や、「自社の紹介ムービーを作ってみたい」という具体的な行動につながる感想が寄せられています。
一方で、AI活用への不安としては情報漏洩や料金面を挙げる声があり、「ネットそのものが苦手」という参加者からの率直な声もありました。習熟度の幅が大きい場では、初学者がついていける設計が次回以降の課題として残ります。
次回テーマへの要望では、会社全体の業務効率化、SNS系AIの実用的な使い方、より踏み込んだプロンプトの作り込みなど、すでに一段深い活用を見据えた声が目立ちました。

セミナーを終えて:まず一つ、明日から試す
今回のセミナーは、生成AIを仕組みから理解することと、その場で手を動かして体験することを組み合わせた構成でした。MBTI診断、NotebookLMデモ、円卓のおじ、議事録作成、画像生成と、135分でこれだけのツールと活用例を実践的に届けています。
クロージングで強調されたのは、「まず小さく試して、効果を感じたら少しずつ広げる」という進め方でした。議事録もチラシもアイディア出しも、今日触れたものはいずれも明日からすぐ使えます。大事なのは、すべてを一気に変えようとせず、自分の業務の中から一つだけ選んで試してみることです。
森本納涼祭という、参加者全員にとって身近なイベントの資料を素材にできたことで、AI活用が遠い技術の話ではなく、自分たちの現場の話として伝わったのではないかと思います。次回は、今回試してみた手応えを持ち寄りながら、さらに踏み込んだ活用を一緒に考えていきます。
議事録づくりやチラシ作成を、自社のどの業務からAIに任せればいいか一緒に考えてほしい。そんなご相談はいつでも歓迎です。AI-Brainでは、中小企業向けに30分の無料相談を実施しています。まずはお気軽にご相談ください。
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