創業4年目を迎えたウェブメディア「金沢日和」は、前身事業で培われてきたコンテンツと編集思想を引き継ぐかたちで再スタートしました。ですが、その出発点は決して順風満帆なものではありませんでした。前身となる事業体の経営破綻。メディアとして存続できるのかすら分からない状況のなかで、それでも理念だけは手放さずに残しました。

地域のために、情報を発信し続ける。
その想いを軸に、わずか4名での再スタート。人も資金も限られた状況で、毎日必死に取材し、原稿を書き、編集し、配信する日々が続きました。
「やめないために、続けるために、どうすればいいか」。それだけを考え続ける代表取締役・喜多さんの姿に、「とにかく、できることはなんでもやろうと思った」と編集長の佐々木さんは振り返ります。
「人の手が圧倒的に足りない。クオリティを維持したいが、時間も余力もない。チェックも、下書きも、整理も、全部が重たい。それでも、地域のために情報を発信し続けたい。小さな体制でも、クオリティを落とさずに続けたい。そんななかで、企業として導入を決めたのが、生成AIでした」
AIの導入は、単なる効率化のためではありませんでした。喜多さんの思いを、現実の運営として成立させるための手段でもありました。
喜多さんは本格的にAIを学び始め、今も学び続けています。独学だけでなく、有料ツールにも投資し、実際に70社以上と面談。企業の活用事例、失敗例、現場の工夫、運用の限界――。膨大な知見を、自らの足で集めてきました。
その知見は現場に共有され、佐々木さんは実践の担い手としてAI活用に向き合い始めました。

インタビューに答える「金沢日和」編集長の佐々木さん
正解のプロンプトはない。「使えるところ」にたどり着くまで
AI活用は、決して一直線ではありませんでした。
「魔法のプロンプト」など存在しません。発明できたわけでもありません。試して、失敗して、やめて、変えて。その繰り返しのなかで、「うちの現場で、本当に使えるところ」に少しずつたどり着いていきました。
現在、金沢日和では、会社としてChatGPTの有料版を全社員に付与しています。
個人の試行に任せるのではなく、「編集部全体の基盤ツール」として位置づけ、誰もが同じ環境でAIを使える体制を整えました。
現在、主に活用しているのは次のような領域です。
・校正や表記チェック
・構成案のたたき
・英語原稿の下書き
・作業ベースの整理
少人数の編集部だからこそ、佐々木さん自身も現場の一員としてAIと向き合い続けてきました。 「チェックはAI」「作業はAI」「思考と表現は人」。その役割分担が、現場の感覚として自然に定着していきます。
編集長の佐々木さんが特に重宝しているのは、執筆や校正そのものよりも、“編集判断”を支える使い方です。 たとえば、記事の公開前に「読者にとって不足している情報はないか」「根拠や一次情報の抜けはないか」「誤解を生む表現になっていないか」を点検するためのチェック用GPTとして使います。
また、プロジェクト機能で金沢日和の編集方針、トーン、過去の蓄積(企画の狙い・想定読者・表記ルールなど)をひとまとまりにし、記事単体ではなく“メディアとしての一貫性”の観点から点検できる状態を作っています。
さらに、「今の金沢日和に足りない企画は何か」「こういう記事があったら読まれる/役に立つ」という洗い出しや、企画の組み立てを壁打ちで高速化。AIは答えを出す存在というより、編集長の判断を言語化し、抜け漏れを減らすための相棒として位置づけています。
事実を書くだけではない。「思い」をどう届けるか
金沢日和の編集方針は、今も変わりません。
事実を並べるだけの記事はつくらない。イベント情報を並べるだけなら、他にも媒体はあります。
・なぜその人が、今ここでやっているのか
・どんな思いで続けているのか
・言語化されていない背景や立場
雑誌時代の編集に戻ろう。相手の思いを、きちんと汲み取ろう。
「読み取る力」「編集の視点」だけは、人が担います。AIは、その思考を支える道具であり、代替ではありません。
「優秀な部下」との共創から生まれる、新しい発想
金沢日和が目指しているのは、「AIで記事を量産するメディア」ではありません。
・作業は効率化する
・チェックは自動化する
・翻訳や下書きはAIに任せる
そのぶん、取材、編集、企画、文脈設計に、より深く時間を使います。
「優秀な部下ができたような気持ちです。いろいろできるようになってしまって、自分の首を締めている気もしますが(笑)、あれもこれもできるのかもしれない、という、これまでにない発想も生まれてきました」と佐々木さんは話します。
AIは、編集アシスタントであり、翻訳者であり、整理係。楽になった部分も確かにあります。一方で、楽になったとは言い切れない面も多い。ですがその過程で、改めて「人こそが絶対」という事実にも気づかされました。
そして最後に判断するのは、必ず人です。
地域の本来の良さを、正しく理解し、正しく届けるために
広範に届けたい地域の魅力は、観光情報だけではありません。
・暮らしの文化
・ものづくりの背景
・その生業を続ける理由
・土地に根づく思想
それを理解し、編集し、遠くの人にも伝わる形にする。そこにたどり着くためのAIでもあります。
「大事なスタッフとしてAIと共創しながら、可能性を広げ、思いをきちんと届ける。そして、使っていただきやすいメディアをつくっていきたい」と佐々木さんは語ります。
金沢日和は、「AIと共創する、新しい地域メディアのかたち」を、これからも現場で作り続けていきます。
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