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「人を増やして解決する」時代の、次の一手|志命塾 9月勉強会 生成AI講演レポート

筆者/喜多 辰徳

2026年9月24日(木)、志命塾の9月勉強会に、株式会社AI-Brain 代表取締役社長の柏野 真吾が登壇しました。テーマは「生成AI活用術 ― 人材不足の時代を支える生成AIの可能性」です。経営者と従業員がおよそ半数ずつ、15名の方にご参加いただきました。

開会の挨拶で、塾長がAIにはまだついていけていないと率直に話されたところから、講演が始まりました。柏野の第一声は、自分もついていくのが大変どころか、振り切られているくらいです、というものでした。


開催概要

・日時:2026年9月24日(木)18:30〜20:00

・会場:金沢未来のまち創造館

・主催:志命塾(9月勉強会)

・テーマ:生成AI活用術 ― 人材不足の時代を支える生成AIの可能性

・講師:柏野 真吾(株式会社AI-Brain 代表取締役社長)

・参加人数:15名(経営者・従業員がおよそ半数ずつ)


生成AIは、苦手なことを補ってくれるアシスタント

柏野が生成AIにのめり込んだのは、自分にできないことや苦手なことを補ってくれるからでした。冒頭で上映したAI-Brainの会社紹介アニメーションも、キャラクターから音楽、ナレーションまで、すべて生成AIで制作しています。柏野自身は、アニメーションを一切作れません。

講演で生成AIを使っている方に手を挙げてもらうと、数年前は1割ほどでしたが、最近は有料プランの契約者が半数に上る場面もあります。一方で、従業員が個人契約のAIに会社のデータを入力しているケースも見られます。経営者に問われているのは、自分が使うかどうかではなく、会社としてどう取り組むかです。

ツールはChatGPT、Claude、Gemini、Copilot、Perplexity、Grokの六つが紹介され、会場ではChatGPTの利用者が約8割でした。多くは無料の範囲でも使えるため、まずは複数を触り、自分の業務に合うものを見つけることが最初の一歩です。


便利さの裏にある、二つの注意点

画像生成は、ここ1年で大きく進化しました。写真の一部だけを一言の指示で自然に直せるようになり、画像内の日本語も正確に描けるようになっています。チラシ制作の実務でも十分に使える水準です。

一方で、柏野は二つの注意点を挙げました。一つ目は著作権です。人気アニメの画風に寄せた画像は、プライベートで楽しむ分にはよくても、SNSや集客に使えば権利侵害になり得ます。

二つ目は、AIがもっともらしい答えを返すことです。庭木の剪定方法を写真付きでAIに相談した柏野は、最初は理想的な仕上がりを示されましたが、角度を変えて深掘りすると、実際はかなり寂しい姿になることがわかりました。AIは確率的に正解らしい答えを探しており、名打者の打率が3割台であるように、100%正確にはなりません。Excelの損益データを読み込ませたところ、数字しか入っていないセルについて無関係な説明を自信満々に返してきた事例も紹介されました。対策として、ファクトチェック、複数のAIでの比較、出力を下書きと捉えること、最終判断は必ず人間が行うことが示されました。


会計事務所の仕事は、道具の進化とともに変わってきた

柏野の本業は会計事務所の専務取締役です。2016年に野村総合研究所の「AI時代になくなる可能性が高い仕事」の一覧を見たとき、そこには経理事務員やデータ入力係など、自社の職員の仕事が数多く並んでいました。

そろばんから電卓、Excel、会計ソフトへと道具が進み、いまはネットバンキングのデータが自動で連携され、AIが勘定科目まで推定します。人の役割は、最終確認に絞られつつあります。エストニアでは、個人の確定申告が国からの通知を承認するだけで完了します。この危機感が、生成AIに取り組む原点になりました。

視野を世界に広げると、OpenAIの企業価値は約134兆円、Anthropicは約152兆円とされ、どちらも一社で日本の国家予算(約122兆円)を上回ります。2026年9月22日時点の世界の時価総額上位10社のうち、9社がAIまたはAIを支えるインフラ企業で、日本企業は一社も入っていません。孫正義氏はソフトバンクワールド2026で、2040年にAI経済が世界GDPの約20%に達すると予測しましたが、柏野は、投資家の立場からの数字でもあるため一つのシナリオとして受け止めるべきだと補足しています。


「人を増やして解決する」やり方は、限界を迎えている

パーソル総合研究所と中央大学の「労働市場の未来推計2035」では、2035年にサービス業で約115万人、卸売・小売業で約77万人に相当する労働力が不足すると推計されています。採用難や育成の時間、業務の属人化、コスト圧力が重なり、人を増やして成長するやり方は限界を迎えています。

柏野が示したのは、単純作業はAIに任せ、最終判断は人が行うという方向性です。月数千円で優秀なスタッフを一人雇ったつもりで、まずはやらせてみてほしいと勧めました。最近は自ら考えて動くエージェント型のAIも登場しており、柏野の場合、朝起きるとGmailの返信の下書きができあがっています。送信の権限は与えず、下書きまでにとどめているそうです。今はAIを使う会社と使わない会社に大きな差はありません。けれども3年後、5年後、10年後、本当に人が足りなくなったときに、その差はボディブローのように効いてくると強調しました。


補助金の申請書から採用面接まで、ここまで任せられる

補助金の申請書は、通常のチャットに頼むとルールにない内容まで書いてしまいます。そこでNotebookLMに募集要項や過去の採択事例、自社の情報を読み込ませると、その範囲内でルールに沿った内容が書けます。柏野は、事業概要書や交付申請書を所定のフォーマットに合わせてAIに作らせています。この日のスライドも、話したい内容をNotebookLMに入れて作ったものでした。

採用では、名前や住所を塗りつぶした応募書類を、会社の採用パンフレットとあわせてAIに読み込ませ、スキルや相性を評価させています。面接で確かめるべき点もAIに挙げさせ、自分の感覚とAIの見立てをすり合わせて次の面接に進めるかを決めています。情が移りやすい自分の判断を、AIの見立てで補っているわけです。

講演や商談は原則すべて録音し、Nottaで文字起こしをして、質疑応答の回答が正確だったかの検証や、議事録、提案書、サービス開発に転用しています。音声データは後々使える資産になると、参加者にも勧めていました。

最後に紹介されたのが、AIによる動画制作です。デジタルタトゥーへの懸念や退職後の扱いから、社員が顔を出したくない会社は少なくありません。そうした会社でも、AIのキャラクターなら企業PRや採用PRの動画が作れます。制作会社に頼めば200万〜300万円規模のアニメーションも、50万〜60万円程度で作れるといいます。ただし、何を伝えたいかを対話から読み解くのは人の仕事です。


参加者の声

講演後のアンケートでは、回答者全員が「満足」以上を選び、その大半が最高評価をつけました。

AIとどう向き合い、どう使いたいのかというビジョンを腹に落とし込めた、ようやくスタートラインに立てた、という感想が寄せられています。教育の現場でどう活かせるかを考えたいという、教員の方の声もありました。ホテルの宴会部門で働く方からは、洗い場や清掃の人手が足りないという切実な声も届きました。講演で示された人手不足は、現場ではすでに実感として表れています。

AI-Brainのサービスで最も関心が集まったのは、採用広報向けのAI動画制作でした。


講演を終えて:差がつくのは、人が足りなくなった日

90分を通じて一貫していたのは、AIを人の代わりとしてではなく、人が判断に集中するための道具として位置づける姿勢でした。柏野自身、自分たちの仕事が道具に置き換わっていく会計事務所の当事者です。だからこそ、怖がるのでも飛びつくのでもなく、仕組みと限界を知ったうえで使うという話に説得力がありました。人手不足への答えは、人を増やすことだけではありません。

無料の範囲で触ってみる、身近な業務を一つ任せてみる。その小さな一歩を踏み出したかどうかが、本当に人が足りなくなった日に効いてきます。


AI活用のご相談を承っています

株式会社AI-Brainでは、会社としての取り組み方の線引きまで伴走する経営者・幹部向けの3回パッケージ研修や、実際の業務をAIに置き換えていく半年間の定着パッケージ(2時間×6回)を提供しています。白山市の株式会社あて様での研修の様子は、本メディアでも公開しています。

採用広報や展示会向けのAI動画制作のご相談も承っております。無料の30分オンライン相談をご用意していますので、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。

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