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2026/09/29

「よく考えて」はもう要らない|Opus 5.5公式ガイドの要点

筆者/喜多 辰徳

AIへの指示の最後に「よく考えてから答えて」「ステップバイステップで考えて」と書いていませんか。研修で配られたプロンプト集や、ネットで見つけた型にこの一文が入っていて、そのまま使い続けている方も多いはずです。筆者も長いあいだ、この一文をお守りのように付けてきました。

2026年9月22日に登場したClaude Opus 5.5について、Anthropicが公開した公式のプロンプトガイドは、この一文を外すことを検討するよう勧めています。この記事では、なぜ外してよいのか、代わりに何を書けばよいのか、手元の指示書をどう見直すのかを、筆者が自分の設定を実際に直した経験とあわせて整理します。

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なぜ「よく考えて」は要らなくなったのか

考える量はAIが自分で決める

Opus 5.5は、答える前に考える仕組みが常にオンになっています。以前のモデルのように、考える機能を切って使うことはできません。どれだけ考えるかは、AIが問題の難しさに合わせて自分で決めます。

つまり「よく考えて」と頼まなくても、AIは最初から考えてから答えています。わざわざ頼む意味が薄くなったということです。

外しても質は落ちなかった

公式ガイドには、チャット用の指示から「よく考えてから答えて」という一文を外したところ、返事が早く始まり、答えの質にはっきりした低下は見られなかったというAnthropicの検証結果が書かれています。

長い間お守りにしてきた一文でも、今のモデルでは返事を遅くする原因になりうるということです。


考える深さは「設定」で決める

effortという5段階の目盛り

人が調整するのは、言葉ではなく「effort(エフォート)」という設定です。low・medium・high・xhigh・maxの5段階があり、Opus 5.5の初期設定はmediumです。前のモデルであるOpus 5の初期設定はhighだったので、一段下がったことになります。

一段下がっても、力が落ちたわけではありません。公式ガイドによると、Anthropicのテストでは、Opus 5.5のmediumはOpus 5のhighと同等かそれ以上の結果を出しています。

上の段は「効果を確かめた作業だけ」

公式ガイドは、上位のxhighとmaxを、質が上がると確かめられた作業だけに使うよう勧めています。同じ設定でも、Opus 5.5は前のモデルより多く考える傾向があると公式資料に書かれています。前のモデルと同じ感覚で一番上に固定すると、返事が長く、遅くなりやすいということです。

考える量を減らしたいときも、指示の言葉で頼むより、この設定を下げるほうが確実だとされています。


筆者が自分の設定で直したこと

深い設定を常用していた

筆者はClaude Codeで記事制作や資料づくりをしており、考える深さを上から2番目のxhighに固定していました。深く考えるほうが安心だと思っていたからです。

公式ガイドを読み、普段はhighに下げました。記事制作の一連の工程や、重要な判断を別のAIとあわせてレビューする作業など、一部の作業だけxhighを残す形です。

指示書の「考えて」を5か所外した

あわせて、自分が使っている指示書を点検しました。「行動を起こす前に段階的に考え」「ステップバイステップで考えてください」「思考過程も明示しながら書き出す」といった一文が見つかり、5か所を外すか書き換えました。

最後の「思考過程も明示しながら」は、「各ステップの判断の根拠を1〜2行添えながら」に変えました。欲しかったのは考えた過程そのものではなく、判断の根拠だったからです。


設定したつもりが効いていなかった

記事の裏取り中に、もう一つ見つけたことがあります。Claude Codeの公式ドキュメントには、全体の考える深さの設定はOpus 5.5には効かず、モデルごとの設定で指定する必要があると書かれていました。

筆者の設定は、まさに全体の設定だけでした。モデルを切り替えたあと、指定したはずの深さは使われていなかった可能性が高いということです。いまはモデルごとの設定に書き直してあります。

新しいモデルが出るたびに、指示の文面を見直す人は少なくないはずです。けれど、設定が本当に効いているかまで確かめる人は多くありません。モデルを切り替えたら、文面と設定の両方を確かめる必要があります。


「よく考えて」の代わりに書くこと

公式ガイドの後半は、言い回しより仕事の渡し方に重心があります。地域の会社の事務でも、個人店の仕込みの段取りでも、そのまま使える考え方です。

終わりの状態を書く

何ができたら完了なのかを、形まで含めて伝えます。「返信の下書きを」だけでなく、「お礼、回答、次の手続きの3段落で」と書けば、AIは迷わずに進められます。

長い作業はやることリストで渡す

公式ガイドには、長い作業を任せると、途中の報告で手を止めてしまう場合があると書かれています。やることをリストにして渡しておけば、止まっても残りの項目を示して続きを頼めます。

先に資料を見てもらう

作業の前に、関係しそうなメールや資料をひと通り確認するよう一文添えます。公式ガイドでは、この一文を加えただけで、複数のアプリをまたぐ作業の正答が増えたというAnthropicの検証が紹介されています。

考えた過程を答えに全部書かせない

公式資料では、内部の考えを回答に書き出させる依頼は断られる場合があるとされています。根拠を知りたいときは「判断の根拠を2〜3行で」と頼む形にします。

たとえば、問い合わせへの返信を頼むなら次のように書きます。

次の問い合わせメールへの返信の下書きを作ってください。
完了の条件:
・お礼、回答、次の手続きの3段落になっている
・金額や日付は、元のメールと添付の料金表にあるものだけを使う
作業の前に、添付の料金表をひと通り確認してください。
判断に迷った点があれば、最後に2〜3行で書き添えてください。

手元の指示書を見直す3つの手順

いきなり全部を書き直す必要はありません。次の順で見直せば十分です。

・「よく考えて」「段階的に」「ステップバイステップで考えて」「思考過程を書いて」といった言葉を探す

・見つけた一文を消し、代わりに完了の条件と、先に確認してほしい資料を書く

・使っているツールに考える深さの設定があれば、どの段になっているか、本当に効いているかを確かめる

共有のプロンプト集がある会社なら、決まり文句の欄を「完了の条件」「先に見てほしい資料」の欄に置き換えるだけでも、使う人全員の指示が変わります。


よくある質問

Q. ChatGPTなど他のAIでも「よく考えて」は外してよいですか

この記事の根拠は、Claude Opus 5.5の公式ガイドです。他のAIについては、それぞれの公式の案内を確認してください。考える深さを選ぶ設定があるツールなら、まずその設定で調整するのが近道です。

Q. 考える深さは一番上にしておけば安心ですか

公式ガイドは、xhighとmaxを質が上がると確かめた作業だけに使うよう勧めています。上げるほど返事が遅くなりがちなので、普段は初期設定か一段上で十分です。

Q. これまでの指示書は全部書き直す必要がありますか

公式ガイドは、Opus 5向けの指示はそのままでもよく動くとしています。まずは「よく考えて」のような一文と、考えた過程を回答に書かせる指示だけを見直せば十分です。

Q. 「ステップバイステップの手順を書いて」も消すべきですか

消す必要はありません。見直すのはAIの考え方を指定する一文です。記事や資料の中身として手順を書いてほしいという依頼は、完了の条件の一部なので残して構いません。


まとめ

・Opus 5.5では、考える量はAIが決め、人は考える深さの設定で調整します

・「よく考えて」と書く代わりに、終わりの状態と確認してほしい資料を伝えます

・モデルを切り替えたら、指示の文面と設定が本当に効いているかを確かめます

まずは手元の指示書から「よく考えて」を探し、一文消すところから始めてみてください。

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