AIに質問すると、丁寧な長文が返ってきます。最後まで読んでも、結局どうすればいいのか分からないことがあります。「もっと簡単に」と頼み直すと、今度は言い回しを変えた別の長文が返ってきます。
これはAIの性能や、読む人の理解力の問題ではありません。答えの「形」が、知りたいことに合っていないだけです。
AI研究者のアンドレイ・カーパシーさんが、2026年10月2日にXでこの問題への答えを示しました。この記事では、彼が挙げた4つの形を、地方のお店や会社の仕事で使える頼み方に置き換えて紹介します。プログラミングの知識は要りません。
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分かりにくいのは、答えの「形」が合っていないから
カーパシーさんは、ChatGPTを作ったOpenAIの創業メンバーの1人です。その後はTeslaでAI部門の責任者を務め、2026年5月にClaudeの開発元であるAnthropicに移りました。
10月2日の投稿は、「これからはAIの出力を理解することに、ずっと多くの時間を使うようになる」という一文から始まります。AIが仕事を代わりにこなすほど、人は結果を確かめて理解する側に回る、という見立てです。
そこで彼が勧めているのが、答えを理解しやすい形で出してもらうことです。紹介されている形は次の4つで、後ろに行くほど分かりやすくなる、という順番で並んでいます。
・1段目:短くはっきりした文章で書いてもらう
・2段目:文章の代わりに図にしてもらう
・3段目:触って試せるWebページにしてもらう
・4段目:自分専用の解説動画を作ってもらう
「もっと簡単に」という頼み方では、形は文章のまま変わりません。どの形で受け取りたいかを、こちらから指定するのがコツです。

1段目:書き方のルールを渡して書き直してもらう
カーパシーさんが最初に挙げたのは、ASD-STE100という書き方の規格です。航空機の整備マニュアルを書くために作られた英語のルールで、使ってよい単語は約900語、書き方のルールは53個と細かく決まっています。読み間違いが事故につながる現場のために、誰が読んでも同じ意味に取れる文章を目指したものです。
彼によると、AIはこの規格をよく知っているので、名前を指定するだけで読みやすい答えが返ってくるそうです。ルールが厳しすぎるときは「8割くらい寄せて」と頼むこともある、と書いています。
ただ、ASD-STE100は英語の規格です。日本語の答えに使うなら、ルールの中身を言葉で渡す方が確実です。
今の答えを、次のルールで書き直してください。
・1つの文で伝えることは1つだけにする
・誰が何をするのかを書く
・同じものは同じ呼び方にそろえる
・専門用語には短い説明を付ける
・条件、例外、数字は消さない
・結論、具体例、注意点の順に並べる書き直してもらったら、「元の答えから消えた条件はありますか」と一言聞いてください。短くするときに、判断に必要な条件まで削られることがあるためです。
2段目:何を図にするかを決めて頼む
次の形は図です。カーパシーさんは、文章より図の方がずっと頭に入りやすいと書いています。
ClaudeのWeb版とデスクトップアプリでは、チャットの中に図やグラフをそのまま表示できます。公式ヘルプでは「カスタムビジュアル」と呼ばれ、2026年10月時点ではベータ版です。スマホアプリでは表示されない点と、自動では保存されない点には注意してください。残したい図は、画像やHTMLとして保存するか、アーティファクトとして保存します。
ただ「図にして」と頼むと、文章を四角い枠に入れて矢印でつないだだけの図になりがちです。図にする前に、何を見せたいのかを伝えます。
社内の経費精算の流れを、1枚の図にしてください。
左から右へ、申請から支払いまでの順番で並べてください。
金額や内容によって手順が分かれるところは、分かれ道として描いてください。
図の中の文字は短くし、説明は図の下に1文だけ付けてください。
元の規程にない手順は足さないでください。図に向いているのは、順番、分かれ道、比べた違いなど、文章で書くと長くなる中身です。
3段目:数字を動かせるページにしてもらう
3段目はWebページです。カーパシーさんは、答えを「HTMLで」と頼むだけで、きれいで動かせるページが手に入ると書いています。
ここで作るのは、公開用のホームページではありません。1つの疑問を確かめるための、自分だけの小さな計算ページです。たとえば個人店で値上げを考えているなら、次のように頼みます。
値上げをしたときの売上の変化を確かめるページを、HTMLで作ってください。
今の客単価、値上げ後の客単価、1日の来店数の増減をスライダーで動かせるようにしてください。
動かすたびに、1か月の売上と今との差が変わるようにしてください。
スマホでも操作できるようにしてください。
最後に、実際に動かして確認できたことと、確認できていないことを分けて教えてください。最後の1文が大事です。AIは、確かめていないことまで「完成しました」と書くことがあります。確認できた範囲を分けて報告させると、どこを自分の目で確かめればよいかが分かります。
カーパシーさんは投稿の最後で、こうしたページや動画を「使い捨ててよい道具」として作れるようになった、と書いています。以前なら手間に見合わなかった1回きりの計算ページも、今は一言で作れます。
4段目:解説動画は、準備ができてから
カーパシーさんが一番期待しているのが、どんなテーマでも自分専用の解説動画を作る使い方です。数学の解説で有名なYouTubeチャンネルを例に、「Create a 3b1b style video explainer on X」のような短い頼み方を紹介しています。
ただし、動画はいつものチャット画面だけでは作れません。AIが台本と動きのプログラムを書き、それを動画に変える道具を自分のパソコンで動かす必要があります。Claudeの場合は、パソコン上で作業できるClaude Codeを使います。
筆者も、HeyGenが公開しているHyperFramesという道具とClaude Codeで、金沢日和の記事を縦型の解説動画にしたことがあります。作業は半日くらいで、出来上がりは想像以上でした。一方で、BGMは本番に使うには物足りない仕上がりでした。
まずは1〜3段目で十分です。動画は、文章と図とページを使いこなしてからで間に合います。
どの形にするかは、知りたいことで決める
4つの形は、上の段ほど優れているわけではありません。締め切りを確かめたいだけの人に、図や動画は要りません。
・手順を確かめてすぐ動きたいときは、1段目の短い文章
・順番や関係を知りたいときは、2段目の図
・自分の数字を入れて確かめたいときは、3段目のページ
・動きや流れを順に見たいときは、4段目の動画

迷ったら、まず文章で受け取ります。読んでも分からなかった部分だけを、次の段に上げて頼み直すのが無駄のない進め方です。
AIに形を選ばせることもできます。
私が知りたいのは〇〇です。
短い文章、図、数字を動かせるページのうち、どれで説明するのが一番分かりやすいか選んでください。
選んだ理由を1文で書いてから、その形で答えてください。よくある質問
Q. 無料プランでも使えますか?
1〜3段目は、Claudeの無料プランでも試せます。アーティファクトは無料プランから使える機能です。動画づくりに使うClaude Codeは、有料プランで使える機能です。
Q. 英語で頼まないとだめですか?
日本語で大丈夫です。この記事の頼み方はすべて日本語です。英語の規格名を指定したいときだけ、「ASD-STE100の書き方で」と書き添えてください。
Q. ChatGPTやGeminiでも同じことができますか?
カーパシーさんの投稿は、特定のAIに向けたものではありません。文章と図とページの頼み方は、ほかのAIでもそのまま試せます。図やページの表示のされ方は、AIごとに違います。
Q. 会社の資料を入れても大丈夫ですか?
会社のルールによります。社外に出せない資料やお客さんの個人情報を入れる前に、社内のAI利用ルールと、使っているプランのデータの扱いを確認してください。
まとめ
AIの答えが分かりにくいときは、同じ文章で粘らずに、受け取る形を変えて頼み直します。
・文章なら、書き方のルールを渡して書き直してもらう
・関係や順番は図に、自分の数字で確かめたいことは動かせるページにしてもらう
・図やページの数字は、何点か自分で確かめる
次にAIの答えが長いと感じたら、「もっと簡単に」の代わりに「図にしてください」と頼むところから始めてみてください。
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