「有給の申請ってどうやるんでしたっけ」「経費精算の締めはいつですか」。1件あたりは数分でも、一日中鳴り続ければ、自分の仕事は定時後にしか進みません。
しかも聞く側も、忙しそうな相手に声をかける気まずさを毎回飲み込んでいます。誰も悪くないのに、双方の時間が削られていく。この構造は、仕組みで変えられます。この記事では、社内の質問をGemini Notebookに一次受けさせる手順と、その前に必ず押さえるべき共有の仕様をお伝えします。
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社内の情報は、2ヶ所に眠っています
社内で必要な情報は、たいていどちらかにあります。特定の人の頭の中か、誰も開かないフォルダの中です。
マニュアルがない職場は少数派です。多くの場合、マニュアルはあります。ただ、100ページの中から該当箇所を探すより、詳しい人に聞いたほうが速い。だから誰も開きません。
つまり問題は、情報が存在しないことではなく、探すより聞くほうが速いことです。ここを逆転させれば、質問は自然に減ります。

社内に出す前に、共有の仕様を押さえてください
ここを飛ばすと、あとで困ります。
Gemini Notebookは、メールアドレスを追加して他の人に共有できます。そのとき、閲覧者か編集者かを選びます。
・閲覧者は、共有されたソースとノートを読み取り専用で見られます
・編集者は、ソースとノートを追加・削除でき、さらに他の人へ共有することもできます
社内の質問窓口として配る場合、渡すのは閲覧者権限です。編集者にすると、相手がソースを消せますし、あなたの知らないところで別の人に共有できてしまいます。
「チャットのみ」でも、中身が完全に隠れるわけではありません
もう一段、重要な点があります。
共有時には「チャットのみ」と「ノートブック全体」を選べます。チャットのみにすると、閲覧者はソースや生成物を直接操作できなくなります。
ただし、これは資料を隠して質問に集中しやすくするための表示上の仕組みであって、閲覧者の基盤的なアクセス権を取り消すものではありません。閲覧者がソースにたどり着ける可能性は残ります。
この一点が、社内展開の設計を決めます。
見せたくない資料は、そもそも同じノートブックに入れないでください。「チャットのみにしてあるから大丈夫」という前提は成立しません。
だからノートブックは、テーマごとに分けます
ノートブックを分ける理由は2つあります。
1つ目は精度です。人事の規程と経理の手続きと現場のマニュアルを1つに混ぜると、回答が濁ります。関係のない資料が参照されて、微妙にずれた答えが返るようになります。
2つ目が権限です。前述のとおり、同じノートブックに入れた資料には閲覧者が到達しうるため、公開範囲の違うものを同居させられません。
したがって、人事は人事のノートブック、経理は経理のノートブックというように分けます。閲覧者の顔ぶれが違うなら、ノートブックも分ける。この基準で判断してください。

なお、個人のGmailアカウントで共有できるのは最大50ユーザーまでで、Googleグループへの共有はできません。組織の規模によっては、この上限が先に来ます。
窓口用のカスタム指示
ノートブックに社内規程やマニュアルを入れたら、回答の振る舞いを設定します。
あなたは社内の質問に答える担当です。
ソースの資料をもとに、社員からの質問に正確に答えてください。
・回答は「結論、手順、根拠」の順で、短くまとめてください
・資料に書かれていないことは「その情報は見つかりませんでした。
〇〇部にお問い合わせください」と正直に案内してください
・質問が曖昧なときは、推測せずに聞き返してください
・回答には、該当する資料の箇所を示してください2つ目の行が必須です。
これを入れないと、AIは資料にない部分を一般論で埋めようとします。一般的には正しくても、あなたの会社の手続きとは違う案内が返ります。間違った手続きを案内されるほうが、問い合わせを受けるより高くつきます。
4つ目の行も効きます。回答に該当箇所が示されると、AIの答えがそのままマニュアルの目次として機能します。読む場所が分かるので、マニュアルが初めて使われるようになります。
新人が来る前に、部署のノートブックを作っておく
新人が配属されると、教育係の業務量は実質的に増えます。同じ説明を繰り返し、質問のたびに手が止まります。それでも新人は「こんなことを聞いていいのか」と遠慮して、独り立ちが遅れます。
部署の資料、過去の議事録、マニュアルを入れたノートブックを、配属初日に渡してください。
私はこの部署に配属されたばかりです。
この部署が進めている主な案件を、
「目的・現状・直近の課題」の3点で整理して教えてください。新人は、何度でも、気まずさなしに聞ける相手を得ます。初歩的な質問はノートブックが吸収し、教育係には「ノートブックで分からなかったこと」だけが届きます。
質問の質が上がるので、教える時間は減るのに、密度は上がります。
引き継ぎは、資料より「聞ける状態」を残す
退職や異動のたびに、組織は静かに知識を失います。引き継ぎ資料は作られますが、そこに書かれるのは業務の一部です。関係者ごとの注意点、過去のトラブル、明文化されていない勘所は、前任者の頭の中に残ったまま去っていきます。
これを防ぐには、資料ではなく「聞ける状態」を残します。
引き継ぎ資料、過去のやり取り、そして可能であれば前任者へのヒアリングメモを、1つのノートブックに集めてください。退職前に30分だけ話を聞いて、その記録をソースに入れておくだけでも違います。
〇〇業務について、ソースの資料から以下を整理してください。
1. 業務の全体の流れと頻度
2. 関係者と、それぞれへの対応の注意点
3. 過去に起きたトラブルと、そのときの対処
4. 明文化されていなさそうな進め方のコツ後任は、詰まるたびにこのノートブックに聞けます。「この取引先、何か注意点があったはず」が短時間で解決します。
「あの件どうなった」を探す時間を消す
「あの案件の経緯はどうだったか」「なぜこの仕様になったのか」。仕事の記憶を探す時間は、1回数分でも毎日発生します。
議事録や報告書を溜めたノートブックがあれば、この記憶は外部化できます。
〇〇案件のこれまでの経緯を、時系列で整理してください。
特に「なぜその決定になったのか」の理由も含めてください。理由まで聞くのがコツです。経緯を探す場面の多くは、決定の理由を思い出したい場面だからです。
ファイル名を眺めて開いては閉じる時間が、質問1回に変わります。そして、忘れてもノートブックが覚えているという状態は、頭の余白を作ります。覚えておく仕事をやめると、考える仕事が進みます。
始め方
一度に全部を作る必要はありません。
・質問が一番多いテーマを1つ選ぶ
・そのテーマの資料だけを入れたノートブックを作る(他のテーマの資料は入れない)
・窓口用のカスタム指示を設定する
・自分で10個ほど質問して、答えを確認する
・問題なければ、閲覧者権限で共有する
4つ目を飛ばさないでください。自分が答えを知っている質問を先に投げて、正しく返ってくるかを確かめます。ここで違和感があれば、ソースが足りないか、混ざっています。

社内規程をAIに入れる前には、会社のルールの確認も済ませておいてください。
よくある質問
Q. チャットのみで共有すれば、資料は見られませんか。
A. 完全には隠れません。チャットのみの共有は、資料を表示せず質問に集中しやすくするための仕組みであり、閲覧者の基盤的なアクセス権を取り消すものではありません。見せたくない資料は、同じノートブックに入れないでください。
Q. 共有する相手には、どの権限を渡せばよいですか。
A. 質問窓口として配るなら閲覧者です。編集者にすると、相手がソースを削除でき、さらに別の人へ共有することもできてしまいます。
Q. 何人まで共有できますか。
A. 個人のGmailアカウントの場合は最大50ユーザーまでです。Googleグループへの共有はできません。
Q. AIが間違った案内をしたらどうしますか。
A. カスタム指示に「資料に書かれていないことは答えず、担当部署へ案内する」と明記してください。そのうえで、公開前に自分で質問して答えを確認する工程を必ず挟んでください。
Q. 部署ごとにノートブックを分けると、管理が煩雑になりませんか。
A. 分けたほうが結果的に楽になります。回答の精度が上がりますし、閲覧者の顔ぶれが違う資料を同居させずに済みます。分ける基準は「誰に見せるか」です。
まとめ
社内の問い合わせを手放すために、押さえるべきことは3つです。
・問題は情報がないことではなく、探すより聞くほうが速いことです
・チャットのみの共有でも、閲覧者のアクセスが完全に遮断されるわけではありません。見せたくない資料は同じノートブックに入れないでください
・ノートブックは、閲覧者の顔ぶれが違うなら分けます。精度のためでもあり、権限のためでもあります
まずは質問が一番多いテーマを1つ選び、その資料だけでノートブックを作ってみてください。自分で10個質問して確認してから、社内に出せば安全です。
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