はじめに:毎回同じ説明を書いていないか?前回(「ChatGPTの学習設定」)は、ChatGPTに入力した内容を「学習に使わせない」ための設定について紹介しました。守りの準備ができたら、次は“攻め”の設定です。もしあなたが、ChatGPTを開くたびに「私は○○で働いていて…」と毎回背景を説明している「敬語で、箇条書きで」と毎回同じ指示を書いているとしたら、その時点でかなり時間をムダにしています。この“同じ説明の繰り返し”をやめるために使うのが、「基本的なスタイルとトーン」「カスタムインストラクション(カスタム指示)」という2つの設定です。カスタムインストラクションとは?一言でいうと「名刺+マニュアル」「カスタムインストラクション」は、ChatGPTにあらかじめあなたがどんな人か(名刺)どう答えてほしいか(マニュアル)を登録しておける機能です。毎回のチャットの冒頭で長々と背景を説明しなくても、「この人は地方の○○でこういう仕事をしていて、こういう口調を好む」という前提を踏まえて返答してくれるようになります。ここに、全体の“性格”を決めるのが「基本的なスタイルとトーン」です。設定画面はどこにある?細かい画面表示は今後変わる可能性がありますが、基本的な流れは次の通りです。画面左下(または右上)の自分の名前・アイコンをクリック「設定(Settings)」を開くメニューから「パーソナライズ(Personalize/Personalization)」を選ぶその中に「基本的なスタイルとトーン」「カスタム指示」(=カスタムインストラクション)が並んでいます。ざっくりまとめると:基本的なスタイルとトーン→ ChatGPT全体の“性格・しゃべり方の方向性”をプリセットから選ぶ場所カスタムインストラクション(カスタム指示)→ あなたの仕事や状況に合わせた、より具体的な指示を書く場所という「性格プリセット」+「現場向けの細かい指示」の二段構えになっています。基本的なスタイルとトーンで“性格”を決める「基本的なスタイルとトーン」では、次の8種類から性格を選べます。デフォルト(Default)バランス重視の標準。迷ったらまずこれ。プロフェッショナル(Professional)かための敬語で論理的。公的文書・ビジネス用途向け。フレンドリー(Friendly)やわらかく親しみやすい。お客さま・住民向けの案内文に。率直(Candid)ストレートで回りくどくない。改善点や課題整理に向く。個性的(Quirky)お茶目で発想豊か。キャッチコピーや企画アイデア出し向け。無駄がない(Efficient)要点だけ簡潔に伝える。要約やToDo整理に最適。探究心が強い(Nerdy)背景や理由まで深く説明。じっくり学びたいテーマに。皮肉っぽい(Cynical)批判的で皮肉交じり。失敗パターンやリスク洗い出し用(対外文書には基本NG)。「AIのチカラ」読者向け・おすすめの組み合わせ地方の現場を想定すると、次のような選び方が現実的です。仕事で使う人(役所・中小企業・団体)第一候補:プロフェッショナル次点:無駄がない→ 説明のブレが少なく、資料・メール文のたたき台にしやすい。地域活動・NPO・住民向け広報が多い人第一候補:フレンドリー次点:デフォルト→ 固すぎないトーンで、相談・周知どちらにも使える。企画・アイデア出しがメインの人第一候補:個性的深掘りが好きなら:探究心が強いまずここで“性格”をざっくり決めてから、次にカスタムインストラクションで「現場仕様」に寄せていきます。カスタムインストラクションは「1回書いたら終わり」ではありません。業務の型を決めて、例文を固定して、社内で揃えると一気に効きます。次に読む(明日から使える型にする)・プロンプトの基本:AIに伝わる質問をつくる7つのコツ https://ai-no-chikara.com/posts/prompt-basic-7-tips・そのまま使える:ChatGPTの回答を直して精度を上げる「品質改善プロンプト」 https://ai-no-chikara.com/posts/quality-improvement-prompt-chatgpt・業務の棚卸しで「AIに任せる領域」を特定する(ハンズオン) https://ai-no-chikara.com/posts/work-inventory-ai-delegationカスタムインストラクションで「現場仕様」にチューニング次に、「カスタムインストラクション(カスタム指示)」の設定です。画面には、たとえば次のような項目が並びます。「あなたについて(Who are you?)」「ChatGPTの答え方の希望(How should ChatGPT respond?)」ここに、あなたの状況や希望を書くことで、“自分の現場に合ったAI”に近づけていきます。そのまま使えるテンプレート3パターン初心者が一番困りがちなのは「何を書けばいいのか」です。そのままコピペして、少しだけ自分用に直せば使えるテンプレートを3つ用意しました。① 個人利用(調べもの・学習)【あなたについて(Who are you?)】「地方在住の40代会社員。情報技術(IT)は得意ではないが、仕事や生活の効率化のために人工知能(AI)を使いたい。」【ChatGPTの答え方の希望(How should ChatGPT respond?)】「専門用語はできるだけ省き、中学生にも分かるレベルの例えを入れて説明してください。最後に3行で要点をまとめてください。」② 小さな会社・お店向け【あなたについて(Who are you?)】「地方の商店街で〇〇を営んでいる経営者。チラシや、ラインアプリ(LINE)配信用の文章作成を手伝ってほしい。」【ChatGPTの答え方の希望(How should ChatGPT respond?)】「お客さま向けの丁寧な言葉づかいで、日本語のみで出力してください。毎回、キャッチコピー案を3パターン提案してください。」③ 自治体・地域活動・NPO向け【あなたについて(Who are you?)】「地方で地域イベントを企画・運営している民間非営利団体(NPO)のスタッフ。広報文や企画書のたたき台を作りたい。」【ChatGPTの答え方の希望(How should ChatGPT respond?)】「高齢者にも伝わりやすい、シンプルで固すぎない文章にしてください。想定文字数(〇〇字程度)も毎回一緒に教えてください。」ポイントは、「誰に向けた文章を作りたいのか」まで書いておくことです。ここまで指定しておくと、ChatGPTのアウトプットが一気に“現場仕様”になります。カスタムインストラクションを書くときのコツ3つカスタムインストラクションの書き方を間違えると、「思っていたのと違う」出力になりがちです。最低限、次の3つだけ意識してください。1. 欲張らない(項目は2〜3個に絞る)「敬語」「箇条書き」「毎回3パターン」など、絶対に守ってほしい条件だけを書きます。条件を盛り込みすぎると、AIがどれを優先してよいか分からなくなります。2. 曖昧な表現を避ける「なるべく分かりやすく」「いい感じに」といった言葉は避けて、「中学生にも分かるように」「専門用語を使う場合は、かならず補足説明を入れて」のように、具体的な指示に変えます。3. “書いて終わり”にしない(週1で見直す)数日使ってみて、「敬語がかたい」「説明が長すぎる」と感じたら、その都度文章を直します。現場の変化に合わせて少しずつ更新していく“生きた設定”だと考えてください。効果を実感するためのミニ実験「本当に意味あるの?」と思う方は、次の簡単なテストをやってみてください。カスタムインストラクションなし の状態で、「イベント案内文を作って」と依頼し、完成までに自分が打ち込んだ説明の量をざっくり覚えておく。上記③のような内容を「カスタムインストラクション(カスタム指示)」に書き込み、「新しいチャット(New Chat)」から同じ依頼をしてみる。1回目と2回目で、こちらが入力した説明の量出てきた文章の“現場へのフィット感”を比べてみる。多くの人は、2回目のほうが「説明が半分以下なのに、現場ですぐ使える文章になっている」ことに気づきます。この感覚が一度つかめれば、“設定なしのChatGPT”には戻りにくくなるはずです。まとめ:まずは「スタイル選び」と「3行の指示」から今回のポイントを整理すると、次の3つです。守りの設定:入力内容を「学習に使わせない」(前回「ChatGPTの学習設定」で解説)攻めの設定(その1):「基本的なスタイルとトーン」で性格プリセットを選ぶ攻めの設定(その2):「カスタムインストラクション(カスタム指示)」で自分の現場に合わせてチューニングするこの二段構えを押さえるだけで、ChatGPTは「なんとなく触ってみるAI」から「仕事・地域活動を支える相棒」に変わります。いきなり完璧を目指す必要はありません。まずは次の3行だけをカスタムインストラクションに入れてみてください。自分は誰か(役割・業種)誰向けの文章が欲しいか(お客さま・住民・上司など)どんな形で出してほしいか(敬語・箇条書き・パターン数 など)前回「ChatGPTの学習設定」とあわせて読むことで、「安全に・自分らしく使うための基本」が学べます。<Information>生成AIを社内で使い始めるときに詰まりやすいのは、ツール選びより「入力していい情報」と「運用のルール」です。貴社の状況を伺い、最小限のルールと最初の一歩を30分で整理します。情報収集だけでも歓迎します(オンライン可)。【無料で壁打ちする(30分)】