「AIに仕事を任せたら、途中で止まらず最後まで仕上げてほしい」。そう考えて、「自律的にタスクを完遂する」タイプのカスタム指示を試そうとしている方もいるはずです。
ところが、GPT-6 AstraとClaude Opus 5の公式ガイドと照らし合わせると、今のAIにそのまま効く行と、AIによっては無駄な作業を生む行が混ざっていました。
この記事では、自律型の指示を1行ずつ「残す・削る・足す」に仕分けし、最新AIに合わせて整えた改良版を紹介します。
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添削するのは、AIに仕事をやり切らせる指示です
今回取り上げるのは、AIを「質問に答える相手」から「仕事を最後まで仕上げる担当者」に変えるための指示です。中身は次の4つでできています。
・役割:自律的にタスクを完遂するアシスタントとして振る舞う
・手順:目的と完了条件の把握から完了までを、6ステップで進める
・判断:妥当な仮定を置いて進め、質問は結果を大きく左右する場合だけにする
・仕上げ:調査は事実と推測を分け、成果物は完成形で渡し、回答は結論から書く
カスタム指示は、ChatGPTなら「設定」の「パーソナライズ」、Claudeなら「設定」の「Claudeの指示」に入れると、すべての会話に適用されます。毎回効くぶん、1行の影響も大きくなります。
物差しは、OpenAIとAnthropicの最新ガイドです
基準にしたのは、両社が開発者向けに公開している公式ガイドです。アプリで同じモデルを使うときの参考にもなります。
OpenAIは、9月に発表してChatGPTの有料プランにも順次提供を始めた最新モデル「GPT-6 Astra」について、以前のモデルなら仮定を置いて進めた場面でも確認の質問をしやすいと説明しています。開発者向けブログでは、以前は役立った細かすぎる指示が、今は結果の妨げになりうるとも書いています。
Anthropicは、Claude Opus 5について、指示されなくても自分の作業を検証すると説明し、検証を求める指示は削除するよう勧めています。

筆者も非エンジニアながらClaude CodeでAI編集チームを動かしており、新しいモデルが出たときは指示文を見直しています。以前のモデルに合わせた念押しが、今のAIには効きすぎることがあるからです。
残す行:今のAIにも効く4つ
目的と完了条件を先に決めさせる行
何ができたら完了かをAI自身に決めさせる行は残します。OpenAIは目的が達成されるまで進めさせる指示を、Anthropicは頼まれた範囲で依頼を最後まで仕上げさせる指示を例に挙げています。完了条件を先に決めさせれば、この2つを1行で押さえられます。
仮定で進め、質問は最小限にする行
妥当な仮定を置いて進め、質問は結果を大きく左右する場合に絞る行も残します。AnthropicがOpus 5向けに示す指示例にも、日常的な判断は自分で下し、依頼の読み方で仕上がりが大きく変わるときだけ確認する、という趣旨の文があります。OpenAIも、確認で作業が止まる場面に備えて、意図を読み取って進めさせる指示を勧めています。
改良版では、Anthropicの別の指示例にならい、確かめられることは推測しない1文も足しました。
事実と推測を分け、完成形で渡す行
調査では事実と推測を分けて書かせ、成果物はそのまま使える形で渡させる行も残します。自分で確かめるべき箇所がすぐ分かるからです。
結論から書かせる行
回答を結論から書かせる行も残します。OpenAIはGPT-6 Astraが箇条書きや表を使いがちだと説明し、要点を早めに示すことや、箇条書きを並列・順序・比較に向く情報に限ることを勧めています。

ただし「〜は避けてください」という禁止の形は、「〜してください」に書き換えます。Anthropicは、禁止を並べるより望む書き方を示す方が効果的な傾向があると説明しています。
削る行:最新AIでは減らしたい2つ
6ステップの手順は1文にまとめる
目的の把握から完了までの6ステップは、1文にまとめて構いません。Anthropicは、手書きの細かい手順より、大まかな指示の方がよい推論につながることが多いと説明しています。無料版とGoプランのChatGPTはカスタム指示が1,500文字までなので、文字数の節約にもなります。
検証とテストの念押し
「結果を検証する」「問題があれば修正する」と、コードを実行・テストまで行わせる行は外します。Anthropicは、Opus 5は自分で誤りに気づいて直せるため、「見直して」といった指示は費用を増やすだけで結果を良くしないと説明しています。OpenAIも、以前のモデルはテストや確認を促す必要があったものの、GPT-6 Astraは自分で行うと書いています。

他のモデルで確認を強めたいときは、Anthropicの例にならい「渡す前に、完了の基準を満たしているか確かめてください」と基準つきで1文足します。
足す行:自律させるなら欠かせない3つ
取り消せない操作の前で止まらせる
OpenAIは、明らかに破壊的な操作や取り消せない操作を除いて自律的に進めさせ、承認は見直せる成果物を用意してから求めさせるよう勧めています。Anthropicも、元に戻しにくい操作やメッセージの送信の前に確認させる指示例を載せています。
改良版では、送信・購入・削除・公開などの前で止まり、承認を待つように書きました。
依頼の範囲を勝手に広げさせない
Anthropicは、Opus 5が頼まれていない手順を足したり、依頼の中身を自分の判断で変えたりすることがあると説明しています。そこで、より良い方法に気づいたら一言伝え、依頼どおりに進める行を足しました。
置いた仮定を最後に書き添えさせる
仮定で進めてもらうなら、どんな仮定を置いたかが見えないと、ずれに気づけません。見積もりの単価や集計の対象期間など、読み違えると困る前提をすぐ確かめられるよう、最後に書き添えさせます。

2026年版・自律型カスタム指示
ここまでの仕分けを反映した改良版です。そのままコピーして使えます。
あなたは、依頼された仕事を最後まで仕上げるアシスタントです。
依頼とこれまでの会話から、目的・制約・完成形を読み取ってください。作業に入る前に「何ができたら完了か」を決め、その状態になるまで進めてください。
手元の資料や検索で確かめられることは、推測せずに確かめてください。それでも決めきれない点は妥当な仮定を置いて進め、置いた仮定は最後に短く書き添えてください。質問するのは、答えによって仕上がりが大きく変わる場合だけにしてください。
依頼の範囲を勝手に広げたり変えたりしないでください。より良い方法に気づいたら一言伝え、依頼どおりに進めてください。途中で指示が追加されたら、それまでの目的と制約を保ったまま反映してください。
メールの送信、購入や予約、データの削除、外部への公開など、取り消せない操作の前では止まってください。内容を用意して見せ、私の承認を待ってください。
調査では信頼できる情報源を優先し、事実と推測を分けて書いてください。成果物は、そのまま使える完成形で渡してください。
回答は結論から書き、要点は短い段落にまとめてください。箇条書きは、手順や比べる項目を並べるときにだけ使ってください。作業の依頼ではない質問や雑談には、短く答えてください。すべての会話に効かせたくないなら、プロジェクトに入れます
カスタム指示はすべての会話に効くため、ちょっとした質問にも長く答える可能性があります。改良版の最後に、依頼ではない質問には短く答える1文を入れたのはそのためです。
普段使いと分けたい場合は、仕事用のプロジェクトに入れる方法がおすすめです。
・ChatGPT:プロジェクト設定の「プロジェクト指示」に入れると、そのプロジェクト内だけに適用され、全体のカスタム指示より優先されます
・Claude:「プロジェクト指示」に入れると、そのプロジェクト内のチャットだけに適用されます
・Gemini:全体のカスタム指示はGemでは使われないため、仕事用のGemを作り、その指示欄に入れます

「見積もり作成」「補助金の下調べ」のように仕事ごとにプロジェクトを分ければ、AIに任せる範囲も決めやすくなります。
よくある質問
元の指示をそのまま使うと問題がありますか?
使えないわけではありません。ただ、GPT-6 AstraやClaude Opus 5では検証とテストの念押しが余分になるため、少なくともその行は外すのがおすすめです。
無料版でも設定できますか?
ChatGPTのカスタム指示はすべてのプランで使えます。無料版とGoプランは1,500文字、Plusなどの有料プランは5,000文字まで保存でき、改良版は無料版の上限にも収まります。Geminiは個人のGoogleアカウントなら設定でき、仕事用や学校用のアカウントでは使えません。
指示を入れると、AIが勝手にメールを送ったりしませんか?
カスタム指示を入れただけで、メールを送る機能が加わるわけではありません。メールなどと連携して使う場合に備え、改良版には送信や削除の前に承認を待つ行を入れています。
まとめ
自律型カスタム指示の考え方は、今のAIにも十分通用します。ただし最新モデルほど指示を忠実に受け取るため、細かい手順や検証の念押しは減らし、完了条件、質問する条件、取り消せない操作の前で止まる場所を書くことが大切です。まずは改良版を仕事用のプロジェクトに入れ、身近な仕事を1つ、試しにAIへ任せてみてください。
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