「発想して、やってみる」から始まるAI研修|株式会社あて 第1回レポート

筆者/喜多 辰徳

自社でAI研修を始めたいが、最初に何をやればいいかわからない。そんな悩みを持つ方にとって、株式会社あての事例は参考になるはずです。全12回プログラムの初回に選ばれたテーマは「倫理観とセキュリティ設定」。手相占いやNotebookLMの体験も交えた120分の研修をレポートします。


開催概要

・日時:2026年4月2日(木)13:00〜15:00(120分)

・主催:株式会社あて

・講師:柏野 真吾(株式会社AI-Brain 代表取締役社長)/喜多 辰徳(株式会社AI-Brain 取締役副社長)

・テーマ:AIツール活用における倫理観とセキュリティ設定ガイダンス

・回数:全12回プログラムの第1回


社長が全社員にAI研修を決めた理由

「便利そうなツールはどんどん使ってほしい。ただ、闇雲にではなく、こういう研修を通じて正しい使い方を知った上で挑戦してほしいんです」

株式会社あての新家社長は、研修の締めくくりにそう語りました。同社はすでにGoogle Workspaceを導入しており、デジタル化への抵抗は少ない企業です。それでもAI活用を全12回の研修プログラムとして体系的に導入することを決断しました。

その背景にあるのは、「作業効率を上げた先に、何に時間を使うか」という問いです。プランナーがヒアリングから図面依頼、積算まで行う一連の業務フロー。現場への指示書作成。社内発注の手続き。こうした日常業務の中で、AIが担える部分を見極め、人間がかけるべきところに時間を集中させたいという狙いがあります。


全12回の初回テーマは「守り方」だった

全12回の初回テーマは、華やかなAI活用術ではなく「倫理観とセキュリティ設定」でした。

まず取り上げられたのは、AI生成コンテンツの著作権です。AIが生成した文章や画像の著作権は、現時点では法整備の途上にあり、人間の創作的な関与が認められる場合に限り著作物として保護される可能性があります。しかし、元の写真や作品に類似している場合はトラブルになる可能性があります。たとえば、お店の写真をAIで青空に加工するケースでは、撮影したカメラマンに著作権があるため、無断加工は問題になり得ます。

次に、ChatGPTのセキュリティ設定が実演されました。多くの無料AIツールは、デフォルトで入力データがモデル改善に使われる設定になっています。設定画面から「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすることで、入力内容が学習に使われなくなります。機能が落ちることはありません。

「皆さん、新しいAIツールを使い始めるときは、まず設定画面を開いてモデル改善のボタンを探してください。そこをオフにするところから始めましょう」と柏野は呼びかけました。

なお、Google Workspaceのプランは法人向けのセキュリティが高く、基本的にデータが学習されない設定になっています。ただし、会社の機密情報や個人情報の入力はなるべく避けるべきだという注意も添えられました。


手相占いで「まず触ってみる」

セキュリティの話が終わると、一転して手相占いのワークショップが始まりました。スマートフォンで自分の手のひらを撮影し、AIにアップロードして占い結果を生成するという体験です。

このワークには仕掛けがあります。占い結果を読み合った後、「仕事面ではどうですか」「自分の強みを行動計画に落とすにはどうすればいいですか」と質問を重ねていくと、AIが3ヶ月分のステップを提案してくれるのです。さらに、2人分の結果を入力して相性診断を依頼すれば、チーム編成のヒントにもなります。

遊びの体験からビジネス活用へ自然につながる構成は、AI研修の導入として効果的でした。


プロンプトの「型」か、会話の「流れ」か

研修のなかで印象的だったのは、2人の講師のAI活用スタイルが正反対だったことです。

喜多は「型」を重視します。役割、目的、条件、出力形式を最初にきちんと設定し、一発で精度の高い回答を引き出すスタイルです。ルーティン作業が多い場合は、一度作ったプロンプトを何度も使い回せるため効率的です。

一方、柏野は「会話」を重視します。今聞きたいことをまず投げかけ、返ってきた回答を見て「もうちょっとこうしたい」「そうじゃなくて、こういう目的で聞いてるんだ」とやり取りしながら一緒に作り上げていくスタイルです。

「どっちが正解ということではなく、自分にとって欲しいアウトプットが出てくるのはどちらかを試してみてほしい」と柏野は補足しました。

どちらのスタイルにも共通しているのは、AIに「役割」「目的」「条件」「出力形式」を伝えるという基本構造です。型として書くか、会話の中で自然に伝えるかの違いに過ぎません。


NotebookLMで「自社の教科書」を作る

後半では、GoogleのNotebookLMが紹介されました。これは、自分がアップロードした資料の中からだけ回答を返すツールです。一般的なAIが幅広い情報をもとに推測して返すのに対して、NotebookLMは指定したソースだけを引用するため、情報の信頼性が高くなります。

デモでは、インスタグラムのアルゴリズムに関するWebサイトを10件ほど登録し、それらを基にした「攻略の教科書」を作成する様子が実演されました。さらにボタン一つでインフォグラフィックやスライド資料が生成され、「一生懸命パワポで作る作業から解放される」という可能性が示されました。

社長はこの機能に注目し、社内の300ページにおよぶ営業マニュアルをNotebookLMに入れることを提案しました。「こういうお客様のときにどう対応すればいいか」を質問すれば、自社のやり方だけで回答が返ってくる。共有機能を使えば、全社員が使える社内ツールになるという構想です。


参加者の声

研修後のアンケートでは、11名中7名が満足度で最高評価をつけました。

AI活用の障壁として最も多く挙がったのは「情報漏洩やセキュリティへの懸念」で、まさに今回のテーマが参加者の不安に直結していたことがわかります。次いで「業務に組み込む具体的な方法がわからない」「ハルシネーション対応の手間」が続きました。

自由記述では「NotebookLMやGoogle Meetの活用法など知らなかったことを学べてよかった」「以前Geminiで企画案を効率よく作成できた経験があり、他の業務でも時短になることを探したい」といった前向きな声が寄せられました。一方で「現場サイドでの活用実例を紹介してほしい」という要望もあり、今後の研修で応えていくテーマとなりそうです。


個人で試し、部署で共有し、会社の力にする

研修の最後に、AI活用の段階的なステップが示されました。

まずは個人利用です。1人で使ってみて、自分の業務が効率化されるかを試します。次に、うまくいった使い方を同じ業務を担う部署内で共有します。そして最終的には、会社全体で「かけるべきところに時間をかけることができる」状態を目指します。

社長は最後にこう締めくくりました。

「発想が大事。発想してみて、やってみて、駄目だったら元々ないものなんだから別にゼロでもない。挑戦することには絶対的に価値がある。どんどん何かやってほしい」

全12回の研修はまだ始まったばかりです。次回までに各自がAIを使ってみて、「こんなふうに使ってみた」という報告が出てくることが期待されています。


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