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2026/10/14

生成AIの著作権は誰のもの?文化庁の考え方と使う前の4つの確認

筆者/喜多 辰徳

AI研修の質疑で、毎回のように出る質問があります。「AIで作ったチラシの画像、著作権は大丈夫ですか?」という質問です。

ネットで調べると「グレー」「ケースバイケース」という答えが多く、明日チラシを出したい人の判断材料にはなりません。

そこで、文化庁が公表している公式の考え方と、主なAIツールの利用規約を読み直し、2026年10月時点で言えることを整理しました。読み終えるころには、社内で「どこまで確認すれば使ってよいか」を説明できるようになります。

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「著作権は大丈夫?」は2つの問いに分かれます

この質問には、性質の違う2つの心配が混ざっています。

・問い1:AIで作ったものは、自分や自社の作品として守られるのか

・問い2:AIで作ったものを使うと、他人の作品の権利を侵してしまわないか

研修で聞かれるのは、ほとんどが問い2の心配です。ただ、問い1の答えを知らないまま会社のロゴや看板商品の画像をAIに任せると、あとで困ることがあります。順に見ていきます。


問い1:AIで作ったものは自分の作品になるのか

決め手は、人がどこまで創作に関わったかです

文化庁の審議会(文化審議会著作権分科会法制度小委員会)が2024年3月にまとめた「AIと著作権に関する考え方について」は、AI自身は著作者にならないと整理しています。著作物と認められる場合、著作者はAIを使って創作した人です。

分かれ目は、人の「創作的寄与」があるかどうかです。考え方は、判断の材料として次の例を挙げています。

・指示の中身:表現を具体的に示す詳しい指示は、創作的寄与と評価されやすくなります。長い指示でも、アイデアを伝えるだけなら評価は変わりません

・生成の回数:回数が多いだけでは評価は変わりません。結果を見ながら、表現を具体的に指定する指示へ直して作り直した場合は、認められる可能性もあります

・候補からの選択:いくつかの候補から選ぶだけでは、評価は変わりません

・人による加筆・修正:人が創作的に手を加えた部分は、通常、著作物と認められます(それ以外の部分には影響しません)

たとえば「おしゃれなランチの画像を作って」とだけ頼み、出てきた画像をそのまま使った場合は、指示がアイデアにとどまるため、著作物と認められにくいと考えられます。その画像は誰の作品でもない状態になり、他人にまねされても著作権で止めるのは難しくなります。

なお、この考え方自体に法的な拘束力はなく、最終的には裁判所が個別に判断します。2026年6月12日に決定された知的財産推進計画2026も、AIと著作権の検討結果としてこの考え方を引いています。

規約の「出力はあなたのもの」は、著作権の保証ではありません

ChatGPTとClaudeの利用規約には、AI会社が出力に持つ権利を利用者に譲る、という条文があります。ただし「権利がある場合は」という限定付きです。Geminiは譲るのではなく、生成したコンテンツの所有権をGoogleが主張しない、という書き方です。

これはAI会社と利用者のあいだの取り決めで、著作権が生まれることを約束するものではありません。Adobeの生成AI機能の規約(Fireflyを含む)は、出力が知的財産権で保護されない場合があると明記しています。

仕事で使う人は、個人向け規約の範囲も確かめてください。個人向けのMicrosoft Copilotの規約(2026年8月18日発効)は、個人的な使用のためにのみ使えると定めています。会社の業務で使うなら、会社のアカウントで使う法人向けのCopilotを検討してください。


問い2:他人の権利を侵していないか

ものさしは、AIを使わない場合と同じです

他人の著作権を侵害したかどうかは、AIを使ったかどうかに関係なく、次の2つがそろうかで判断されます。

・類似性:既存の作品の表現の特徴が、そのまま感じ取れるほど似ているか

・依拠性:既存の作品をもとにして作ったか

AIならではの注意点は依拠性です。考え方は、使った人が元の作品を知らなくても、AIがその作品を学習していて似たものが生成された場合は、通常、依拠性が推認されるとしています。「知らなかった」だけでは済まない場合があります(学習した作品の表現が出力されない仕組みが技術的に担保されている場合などは、例外もありえます)。

避けたい使い方は2つです

・作家名・作品名・キャラクター名を指示に入れて「〇〇風に」と頼む

・他人の画像や文章を読み込ませて、それに似たものを作らせる

2つ目は、似たものを作る目的で読み込ませるなら、権利者の許諾が必要になります。許諾がないなら避けてください。


使う前に確認したい4つのこと

文化庁が2024年7月31日に公表した「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」をもとに、事業で使う人が押さえたい点を4つに絞りました。

1. 指示に作品名や作家名を入れない

チェックリストは、作品名やキャラクター名などの固有名詞を入力すると、依拠性が認められやすくなると注意しています。

2. 公開前に似た作品がないか調べる

チラシやホームページに載せる前に、画像検索やネット検索で似た作品がないかを確かめます。チェックリストも、まず既存の作品と似ていないかを確認することが必要としています。

3. 守りたいものには人の手を入れる

ロゴや看板商品の画像など、まねされたくないものほど、AIの出力に人が修正を加えます。人が創作的に手を加えた部分は、著作物と認められやすくなります。

4. 指示文と修正の記録を残す

どんな指示を出し、どこを直したかを残しておくと、「元の作品をもとにしていない」「自分が創作に関わった」と説明する材料になります。チェックリストも、生成の過程を後から確かめられる状態にしておくよう求めています。

この4つに「使うツールの規約を確かめる」を加えれば、社内ルールの土台になります。


2026年の動きと、まだ決まっていないこと

2026年8月25日、政府(内閣府知的財産戦略推進事務局)が、生成AIの開発・提供事業者向けに「プリンシプル・コード」を公表しました。法的な拘束力はなく、AIを使う側に義務を課すものでもありません。

使う側に関わるのは、自分がAIで作ったものとよく似た作品をネット上で見つけたときの仕組みです。生成物と使った指示文、利用目的、見つけたサイトのURLを示し、訴訟などに使わないと誓約すれば、そのサイトが学習データの収集先に含まれていたかを事業者に問い合わせられます。

ただし、回答はコードを受け入れた事業者の自主的な対応で、応じない場合は理由を説明すればよい仕組みです。作品そのものが学習されたかまでは分かりません。事業者からの届出の受付は2026年10月26日に始まります。この問い合わせでも指示文の記録が必要になる点は、覚えておいてください。

一方で、AIで作った画像が著作物にあたるかが争われている裁判が続いていると、2026年8〜9月に相次いで報じられました。判決はまだ出ていません。2026年7月14日に改定された人工知能基本計画も、AIを使って生まれた製品やサービスの知的財産権の在り方は「検討する」としています。何回やり直せば著作権が付く、という線は、まだ誰にも引けません。


よくある質問

Q. AIで作ったチラシを、お店や会社で使ってもいいですか?

A. ChatGPT・Claude・Geminiの個人向け規約は、出力を仕事で使うことを禁じていません。ただし、AIが作ったものを人が作ったと偽るなど、各社が定める禁止事項は守る必要があります。使う前に、似た作品がないかの確認と、個人向けのCopilotのように個人的な使用に限っている規約でないかを確かめてください。

Q. 有料プランにすれば、著作権トラブルのときに守ってもらえますか?

A. 出力が他人の権利を侵害したと訴えられたときに補償する制度はありますが、対象はAPIや大企業向けプランなど一部の法人契約に限られます。ChatGPTやClaudeの個人向け有料プランの規約には、こうした補償の条項はありません。法人契約でも、条件や対象外になる場合が細かく決められています。

Q. 文章も画像と同じ考え方ですか?

A. はい。文化庁の考え方は、文章や画像など生成物の種類で基本の枠組みを分けていません(例としては画像の話が多く出てきます)。ブログやメルマガの文章も、人がどこまで創作に関わったかで判断され、既存の文章に似ていれば侵害になりえます。

Q. 社内の会議資料に使うだけなら、気にしなくていいですか?

A. 会社の業務で使う場合は、個人や家庭内での私的な使用には当たりません。社内向けの資料でも、既存の作品によく似たものを使えば問題になりえます。社外に配ったりホームページに載せたりする前には、とくに確認が必要です。個別の判断に迷うときは、弁護士などの専門家に相談してください。


まとめ

・AIで作ったものが自分の作品になるかは、人がどこまで創作に関わったかで決まります。規約の「あなたのもの」は著作権の保証ではありません

・他人の権利を侵さないかは、似ているか、元の作品をもとにしたかで判断されます

・作品名を指示に入れない、似た作品を調べる、人の手を入れる、記録を残す、の4つを社内ルールにしてください

まずは最近作ったAI画像を1枚選び、画像検索で似た作品がないかを調べてみてください。

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